プーチン声明で株価上昇

ロイター通信撮影

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、オーストリアの首脳との会談後、ウクライナにおける紛争の平和的解決を支持すると声明し、ロシア上院(連邦会議)によって与えられたウクライナ領内で武力を行使する権利を放棄したが、この声明は、急激なロシアの株価上昇をもたらした。

和平プラン

 ウィーンで演説したウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナにおける紛争の平和的解決を支持した。同大統領は、「ウクライナ東部住民の正当な利益は、どう保証されるのか? それをはっきりさせるべく、具体的な交渉が始まるならば、成功の可能性は大きい」と述べ、ロシア議会上院の連邦会議に対し、先に大統領に与えたウクライナ領内における武力行使の許可を撤回するよう呼びかけた。

 この声明の後、ロシアの通貨ルーブルの対ドルおよび対ユーロのレートは、一気に上昇して一日で1月の水準を回復し、MICEX(モスクワ銀行間通貨取引所)とRTS(ロシア取引システム)というロシアの二大取引所の指数は、それぞれ2,2%(1518ポイント)と3,8%(1421ポイント)上昇した。また、ルーブル相場の上昇は有価証券の需要を高め、長期債券は約50ペーシスポイント値上がりし、ロシアの独占ガス企業「ガスプロム」の株価も1日で4,1%上昇した。

 投資会社「UFS IC」の主任アナリストであるアレクセイ・コズロフ氏は、こう語る。「株式相場がリスクを含む投資家の予想やあらゆる事実を考慮していることは、明らかであり、ここ数ヶ月、主にロシア市場の動向を左右しているのは、ウクライナにおける紛争に関連した地政学的なリスクです。これらのリスクを構成する要素の一つは、ウクライナへのロシア軍の考えられる導入に対する西側諸国の懸念でした」。金融会社「AForex」のアナリストであるアレクサンドル・マクシモフ氏は、こう述べる。「ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ南東部への派兵は行わないと声明したことで、ルーブルは火曜日にここ五ヶ月で最も高くなりました。ルーブルを支えているのは、依然として、114ドルというブレント原油の高値です」

 これとまったく同様に、2014年3月、市場は、クリミアのロシアへの編入、ならびに、連邦会議によって大統領に与えられたウクライナへのロシア軍の派兵の許可に、速やかに反応し、早くも一日で、RTSとMICEXの指数は4,8~5%下落し、株価は、国営銀行「VTB」が9,5%、大手銀行「ズベルバンク」が9%、「ガスプロム」が6,4%、値下がりした。

 

言葉の値打ち

 専門家らは、ルーブルは、ここしばらく値上がりし、プーチン大統領の発言は、6月26と27の両日のEUサミットにおける新たな対露経済制裁導入の可能性を低減する、とみている。アレクセイ・コズロフ氏は、こう語る。「こうした措置が一貫して採られることで、ロシアの全体的イメージがアップし、ひいては、これが、ロシアへの投資を促す要因の一つとなる、つまり、資金の流入をもたらす可能性があります。プーチン大統領は、思想を深く表現することができ、投資家が予期せぬような市場に強いインパクトを与える大胆で重要な措置に踏み切ることができます」

 プーチン大統領の声明は、これまで再三にわたり、取引所の指数ばかりでなく個々の会社の株価にも影響を与えてきた。最もよく知られているのは、2008年7月24日の声明で、その際、プーチン大統領は、「鉄鋼業の発展と金属製品の国内市場への安定供給に関する措置についての」会議で、国内市場において高すぎる価格で石炭を販売しているとして「メチェル」社を非難した。このとき、同社のイーゴリ・ジュージン社長は、病気を理由に会議を欠席したが、プーチン大統領は、「イーゴリ・ウラジーミロヴィチ・ジュージン氏はできるだけ速やかに快癒すべきでしょう。さもないと、医者を遣わしてこれらの問題をすべて片づけてもらうことになります」と述べた。この声明の後、その日のうちに「メチェル」の株価は38%急落した。コンサルティング会社「アルカイム」のアレクサンドル・ドロフェーエフ社長は、こう述べる。「その一件は、金属市場における価格形成に介入する当局の意向を示し、そしてその介入は、当該部門の企業の時価総額にそのまま影響しました。このように、市場は、重大な経済的結果をもたらす声明に反応するわけです」

 後にロシアの週刊誌「コメルサント・ヴラスチ」が算定したところでは、プーチン大統領が「メチェル」に関する発言の際に述べた語の数は、全部で108なので、同社の時価総額が155億ドルから107億ドルに下がったとすれば、一語あたり4440万ドルを同社から奪ったことになる。その後、2010年7月、プーチン大統領が二年前の「メチェル」に対する声明を悔いていると発言して同社の最近の成果を称えると、同社の株価はニューヨーク証券取引所で一気に7,7%上昇し、同社の時価総額は85億9千万ドルから92億5千万ドルに増加したが、その際に大統領が発した語の数は68なので、今度は一語で970万ドルを同社にもたらしたことになるという。