ロイター通信撮影
ドネツィクの政府庁舎はこの間、すべての対立当事者の代表を集めた。テーブルについたのは、ドネツィク人民共和国のアレクサンドル・ボロダイ首相、レオニード・クチマ元ウクライナ大統領、「ウクライナの選択」運動のヴィクトル・メドヴェチュク指導者、ミハイル・ズラボフ在ウクライナ・ロシア大使、欧州安全保障協力機構(OSCE)のハイディ・タグリアヴィニ特使。
「ウクライナ・プラウダ」紙によると、ウクライナのパヴロ・クリムキン外相は現在、欧州連合(EU)との「連合協定」の経済部分の署名に向けた準備のためにブリュッセルにおり、クチマ元大統領がウクライナ大統領の特使として協議に出席したという。
当事者の条件
ウクライナ政府の計画には、協議の全出席者の安全を保証し、また重犯罪を犯していない者が武器を下ろした場合に刑事責任を追求しないこと、さらにウクライナとロシアの国境に、10キロメートルの緩衝地帯を設置することが定められている。「不法に抑えられているドネツィク州とルハンシク州の行政庁舎は解放されるべき」との条件もある。
南東部の代表にとって政治的に重要なポイントとなるのは、「人民共和国のステータスを定める憲法法案について、ウクライナ大統領と人民共和国が合意すること」である。連邦、共和国の自治、または何らかの他のものなのか、現在のところは不明。
協議は何をもたらすか
プーチン大統領は24日、上院決定「ウクライナ領域におけるロシア軍の利用について」の取り消しを求める書簡を上院に送付し、25日、上院はこの要請を承認した。
フョードル・ルキヤノフ外交・防衛政策会議議長によると、軍事対策を講じる必要がないことを示すロシア側の好意的なジェスチャーだという。「軍の使用許可自体がお印であったこと、その取り消しもお印であることが今わかった。ロシアは第一に平和的な解決に忠実であり、第二にそれが達成可能だと信じていることを示している」とロシア通信に伝えた。
「これはドネツィクでの協議が真剣な政治プロセスであって、しっかりと準備され、少なくとも相互理解の基礎レベルにはあり、ただお互いに混乱させるだけではなく、協議を希望していることを証明している」とルキヤノフ議長。
だが多くの専門家がこの協議プロセスの展望に懐疑的である。ドネツィクの協議は平和協定で終わるのではなく、将来的な話し合いや会談のための基礎を築くものだと考えている。
ロシアの政治学者セルゲイ・ミヘエフ氏はこう話す。「ウクライナ政府の主な目的とは、平和的な協議プロセスのアピール。外国に対して平和を構築しようと努力していることを示さなければいけないため。実際には義勇軍と協議し、平和のために譲歩する用意はない」
ウクライナ大統領の平和計画は、あえて南東部にとって実行不可能なものになっているという。「大統領は6月27日に、可能なことをすべてやったが、義勇軍が条件の実施を拒んだので、武力攻撃を再開しなければならなくなったと言うだろう。実際にはウクライナ国家親衛隊と義勇軍の軍事衝突は止まらなかった。いわゆる反テロリスト作戦に関する、ウクライナの軍人の報告を、しばしば目にすることができる」とミヘエフ氏。
良い兆候という意見も
ウクライナの政治学者であるヴァジム・カラショフ氏は、このような協議が行われること自体が良い兆候だと考える。協議が開始されたということは、ロシアとウクライナがウクライナの流血の事態を終わらせようとしていることを物語っているという。
「ウクライナ政府は両人民共和国の政党派を、自分たちの政治システムに統合させるかもしれない。ソ連幻想だった『地域党』の物語は終わりに近づいている。アイルランド共和国軍と距離を置く北アイルランドの『シン・フェイン』党のような新しい地域政党が、“空いた場所”にやって来るかもしれない」
「東部で武装民衆が芽生えたことを理解する必要がある。この新しい政治運動が、議会選挙への参加権と、非対称的な地方分権の枠内で、新たな地域のステータスを得るのもいいだろう」
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