プーチン氏は、ブロックのシステムはすでに自らを使い果たした、とみなしている。NATOはソ連に対抗するものとして創設されたが、ソ連は存在を停止したのに、NATOは残された。=ロイター通信撮影
ウクライナとクリミアについて
大統領は、ウクライナで起こったのは憲法に違反したクーデターおよび武力による権力奪取である、とみなしている。ロシアのリーダーは、ウクライナ東部における出来事へのロシア軍の関与を断固否定した。プーチン氏は、ウクライナの現政権と地方の間の対話を速やかに開始することがきわめて重要であるとみている。同大統領は、ロシアがつねにウクライナに“寄り添ってきた”点を強調し、ウクライナへの経済支援の額がすでに数千億ドルにのぼることを明らかにした。
大統領によれば、クリミアとセヴァストポリに関する決定は、半島における住民投票の結果がその決め手となった。ロシアは、クリミアにおける軍事行動を企てたことは一度もなく、形成された地政学的現実において関係を構築するつもりでいたが、ロシア語系住民に対する現実的脅威によって行動を余儀なくされた。
大統領は、こう述べた。「ロシア人、ロシア語系住民に対する脅威は、具体的であり、肌で感じられるものでした。それで、クリミアの住民は、将来のことを想い、ロシアに支援を求めたのです」
大統領は、黒海艦隊の艦船のかなりの部分がノヴォロシースクからセヴァストポリへ移ったことを明らかにしたうえで、クリミアの造船所にも造船および船舶修理のかなりの量が集中することを約束した。
プーチン氏は、ロシアがウクライナに樹立された政権を非合法的なものとみなしているものの対話を拒否してはいない点を改めて強調し、ウクライナにおける選挙のすべての参加者と活動する用意があることを明らかにした。
ウクライナにおける武力行使の可能性について
ロシアの大統領は、ウクライナへ軍隊を派遣する権利を行使しないですむことを望んでいるという。そうした権利は既に上院によって与えられているが、プーチン氏は、こう述べた。「私は、私がその権利を使わずにすむことを、そして、私たちがウクライナにおけるすべての深刻な問題を政治的外交的手段で解決できることを、切に願っています」
国際的ブロックおよび中国との協力について
プーチン氏は、ブロックのシステムはすでに自らを使い果たした、とみなしている。NATOはソ連に対抗するものとして創設されたが、ソ連は存在を停止したのに、NATOは残された。ロシアの指導者は、現在、NATOの行動は誰に向けられているのか、NATOはなぜロシア国境へ自らのプレゼンスを拡大しているのか、について、次のように答えた。
「ロシアは、中国との軍事政治同盟に関する問題を提起していませんが、中国との信頼と協力の関係は、空前のレベルにあり、たとえば、軍事分野における露中関係は、かつてないほど信頼に満ちており、合同演習が実施されています。
露中関係は、世界政治の重要な要因となり、現代の国際関係の構造に大きく作用することでしょう」
アラスカについて
クリミアのロシアへの編入に関連して、かつてロシア領であったアラスカについての質問が行われたが、プーチン氏は、これに笑いながら反応し、「なぜアラスカが必要なのですか?」と反問した。国家元首は、アラスカが19世紀に売却された点を指摘し、「ロシアは北国であり、国土の70%は北方および極北に属しています。そうした地域を維持するのは財政的に大変です」と述べた。
ガスと石油について
プーチン氏は、ウクライナ経由のガス輸出の問題が上首尾に解決されることを願っている。ロシアのリーダーは、欧州は、ロシア産ガスの輸入を拒否できないと確信している。というのも、欧州諸国は、ガスの30~35%をロシアから輸入しており、その割合が、フィンランドでは約90%、ほかの一連の国でも60~70%にのぼっているから。
ロシアは、ガスに対するウクライナの債務についてさらに一月待つ用意があり、調整プロセスに西側が加わるよう求めている、とロシアのリーダーは語った。
米国との関係について
ロシアのリーダーは、ロシアは、アメリカとの信頼関係を取り戻したいと考えており、米国に対して嘘と二重基準を排するよう呼びかけ、こう述べた。
「必要なのは、互いの国益を尊重し、同じ言葉で話をし、国際政治から嘘と「二重基準」を排し、力の政治ではなく国際法により多くの注意を割いてより多くの意義を付与することです」
エドワード・スノーデン氏からの質問
米国による全体的な国民の監視を暴露したアメリカの特務機関の元職員エドワード・スノーデン氏からも、ロシアもそのような監視を行っているのかというビデオによる質問が寄せられた。プーチン氏は、ロシアでは米国のような大がかりな国民監視はありえないとし、ロシアでは電話の盗聴やインターネット上の監視などを目的とした特殊な手段の使用が法律によって規制されていて裁判所のしかるべき決定を仰ぐ必要がある点を指摘し、こう述べた。「そのようにスケールの大きな、歯止めのない規模の監視を、私たちは、もちろん、自らに許していません。私は、この先も決して許さないことを切に願っています」
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