「沿ドニエストル・モルドバ共和国」のエフゲニー・シェフチュク大統領=タス通信撮影
―プーチン大統領は、3月28日のオバマ米大統領との電話会談で、「沿ドニエストルは事実上の封鎖状態」と指摘し、「地域住民の生活を著しく困難にし、彼らの移動と正常な通商、経済を妨げる」と述べました。沿ドニエストルは実際、ウクライナ側から封鎖されていると言えますか?
沿ドニエストルは、成立以来ほぼ常にそうした状態にありましたが、とくに2006年にひどくなり、当地の商品、決済システムが事実上封鎖されてしまい、自国の運輸会社による貨物・旅客輸送ができません。河川交通、空路もブロックされています。ところが今日では、こうした制限が一般市民の移動の自由にも敷衍されたことで、状況は一段と深刻化しています。これはとくに、兵役の対象になる年齢のロシア人男性に当てはまります。沿ドニエストルには、約20万人のロシア国籍をもつ人々が居住していますから、こうした制限措置は非常に厳しいですね。
―ウクライナは最近、オレグ・セガル沿ドニエストル大統領特使ら一連のロシア国籍を持つ市民が領内を通過することを拒否しました。これに関連してどのような措置を講ずる意向ですか?
我々は事態を注視しつつ、このおよそ友好的とは言いがたい措置をなぜとったのか、その理由について、ウクライナ側と意見交換するため、協議を行うことを提案していますが、残念なことに、いまだに納得のいく回答は得られていません。移動の自由は基本的権利ですから、我々は、同様の報復措置をとることは検討していませんし、将来検討するつもりもありません。
隣国との間に生じたあらゆる問題は、交渉で解決すべきだと我々は考えています。ある時期が過ぎれば、ウクライナ、ロシア、モルドバの各国民は自由に国境を通過すべきとの了解が得られると期待しています。もちろん、法律による制限を受けている犯罪者は別ですが。
―ロシアによるクリミア編入は、ロシアと沿ドニエストルとの関係にどんな影響を及ぼしていますか?
ロシアと沿ドニエストルとの関係には良い傾向が見られます。昨年は、沿ドニエストルに関するロシア大統領特使の、ドミトリー・ロゴージン副首相と沿ドニエストル大統領との間で、社会、経済の分野での協力に関する協定が結ばれました。この協定の枠内で、ロシア側は、沿ドニエストルに住むロシア国民と同胞の生活条件を改善すべく援助する意向です。
クリミアについては、我々、沿ドニエストル国民は、ロシア指導部の方針を全面的に支持しています。つまり、いずれの国も、その国民がどこにあろうと守る義務を負っている、という立場ですね。これはどの文明国もやっていることで、ロシアも実行しています。我々の考えでは、これ以外の立場はありえないのです。
―沿ドニエストルをめぐる状況は、今後のどのように発展していくと思いますか?
我々は事態の進展を見守っています。今日では、モルドバが、経済分野の権限のかなりの部分をEU(欧州連合)に引き渡そうとしていることは明らかです。ウクライナもまた、同じ方向に急速に進んでいます。また、モルドバは、ルーマニアと国境に関する条約をまだ結んでいないのに、同国との軍事協力を拡大しています。我々の意見では、モルドバはEUに、自分の軍事に関する権限も事実上引き渡しつつあります。我々の隣人たちのこのような決定によって派生する外的条件と危険を考えれば、社会、経済、政治の各分野での見直しは必至だ、というのが我々の見解です。
我々、沿ドニエストル国民に、自分なりの志向と確信があるからといって、欧州の真ん中に、他地域に移動できない“指定居住地”を作るなんて、とんでもないことです。ここに住む国民の意志と意見は、尊重すべきです。
モルドバにとっても、沿ドニエストルにとっても、正常化のための最上の方法の一つは、文明的な“離婚”でしょう。これについては、私は再三述べてきました。しかも、チェコとスロバキアという先例もあります。
我々はいずれも、現実を受け入れて、お互いの邪魔をしないようにし、自国の経済を発展させ、国民の潜在能力を高められるような生活条件を構築していくべきです。
沿ドニエストルの経済的ポテンシャルの抑制を含む、各種の制限で政治的譲歩を引き出そうとしている今の状況はナンセンスです。こうした状況は、2014年中に解決されるべきだと思います。
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