「ウクライナのロシア人を守る」

3月18日、プーチン大統領は、クリミアをロシアに編入する条約に署名した。=ロシア通信撮影

3月18日、プーチン大統領は、クリミアをロシアに編入する条約に署名した。=ロシア通信撮影

3月18日、プーチン大統領は、クリミアをロシアに編入する条約に署名した。以下は、大統領の特別演説の要旨。

クリミアについて

 自身の演説の中で、プーチン大統領は、クリミアがロシア国外に在ることは「許しがたい歴史的不正」であるとし、クリミアのウクライナへの移譲に関する決定がソ連の指導者ニキータ・フルシチョフ氏によって憲法の規定に違反して採択された点を指摘して、こう述べた。

 「その決定は、当時有効であった憲法の規定に明らかに違反して採択され、問題は、非公式に内輪で決定されました」

 「これまでずっと、市民も多くの社会活動家も、再三このテーマを取りあげ、クリミアはロシア固有の領土であり、セヴァストポリはロシアの都市であると発言してきました。そうです、私たちは、すべてこのことをよく弁えて、心で胸の内で感じてきましたが、形づくられた現実を出発点として新しい基礎の上に独立国ウクライナとの善隣関係を築く必要がありました」

 「クリミアは、私たちの共通の財産であり、地域における安定の極めて重要な要因です。そして、この戦略的領域は、事実に則してもっぱらロシアのものとなりえる強く揺るぎない主権のもとに存在しなくてはなりません」

 

ウクライナのロシア人について

 大統領は、ウクライナのロシア語系住民は「強制的な民族同化」の試みにうんざりしたとし、こう述べた。「ロシア人から歴史的記憶ときには母語をも奪ってロシア人を強制的な民族同化の対象とする試みが、次から次へと講じられてきました」

 プーチン氏は、ロシアがつねにロシア語系住民の利益を守っていく点を強調し、こう述べた。「ウクライナには、多数のロシア人やロシア語系市民が暮らしており今後も暮らすわけであり、ロシアは、政治的、外交的、法的手段によって、つねにそれらの人々の利益を守っていきます。しかし、まず第一に、ウクライナ自身が、これらの人々の権利と利益が保証されることを考えるべきであり、ここに、安定性とウクライナの国家体制および領土保全の保証があるのです」

 

ウクライナの将来について 

 プーチン氏は、ロシアがウクライナの崩壊を望んでいない点を強調し、こう述べた。「親愛なる友よ、私は、みなさんに私の言うことを聞いていただきたいのです。ロシアは怖いと吹聴する人たちやクリミアの次に他の地域が続くと騒ぎ立てる人たちを信じないでください。私たちは、ウクライナの分割を望んでいません。私たちにそれは必要ないのです」

 

キエフの政権について

 大統領は、こう述べた。「政変の主な執行者となったのは、民族主義者、ネオナチ、ロシア嫌い、反ユダヤ主義者であり、まさに彼らが、多くの点で今もこれまでもウクライナの現実を規定しているのです」

 「これまでウクライナに合法的な執行権力がなく、話し合う相手がおらず、多くの国家機関が僭称者たちによって簒奪され、それなのに彼らは国内において何も支配しておらず、自分たちが、この点を強調しますが…、しばしば自分たちが急進主義者たちの支配下にある、ということも明らかです。現政権のあれこれの閣僚との面会もマイダンの戦闘員たちの許可があってはじめて可能ですが、これは冗談ではなく、まさに現実なのです」

 

西側の行動について

 プーチン氏は、「ウクライナとの場合において、私たちの西側のパートナーは、一線を越え、粗野に無責任に素人的に振る舞いました」と述べ、西側諸国がクリミアには多くのロシア人が暮らしていることをよく承知していた点を指摘し、こう述べた。「ロシアは、もはやそこから後退できない境界線上にありました」

 

NATOについて

 ウクライナがNATOとの協力を拡大するかもしれないという声明をコメントして、プーチン氏は、こう述べた。「私たちは、NATOとの協力に反対なのではなく、あらゆる内的プロセスにもかかわらず軍事組織であり続ける軍事同盟が、私たちの垣根のそばや家の隣あるいは歴史的領土でわがもの顔に振る舞う、ということに反対なのです」

 

国際法について

 プーチン氏は、ロシアは国際法の規定に違反しているとのEUや米国の声明は「驚くべきシニシズム」であり、クリミアの状況は西側の大国によるコソボの独立の承認とまったく同類であるとし、これに関する国連国際裁判所の決定を引き合いに出して、こう述べた。「一方的な独立宣言に対するいかなる総体的な禁止も、安保理からは出ていません。総体的な国際法は、独立宣言に対する何らかの適用されうる禁止を内容としていません」

 大統領は、また、コソボにおける状況に関連して米国によって採択された宣言を引き合いに出し、独立に関する宣言が国内法に違反している可能性があるにしてもそれは国際法の違反が生じていることを意味するものではない、ということをその文書が認めていた点を指摘して、こう述べた。「自分たちが、そのように記し、全世界に触れ歩き、万人を屈伏させたのに、今度は、腹を立てています。いったい何に?」

 

制裁について

 プーチン氏は、こう述べた。「私たちは、現在、制裁によって威嚇されていますが、これまでも、私たちや私たちの経済や国にとって極めて本質的な一連の制限という状況の中で暮らしてきました」

 プーチン氏は、「冷戦」時代に米国のちにその他の国も一連の技術や設備のソ連への輸出を禁止したことに言及し、その禁止が形式的に撤廃されたにすぎない点を指摘して、こう述べた。

 「実際には多くの禁止は依然として有効なわけで、つまり、18、19、20世紀に行われていた悪名高きロシア封じ込め政策が今も続いているとみなすあらゆる根拠が、私たちにはあります。私たちは、絶えず、私たちが独立した姿勢を有しているために、それを固守しているために、ものごとをありのままに判断するために、偽善を行わないために、どこかの隅へ追いやられようとしています」

 

国際的な反応について

 プーチン氏は、こう述べた。「私たちは、クリミアにおける私たちの行動に理解を示してくれたすべての国に感謝しています。ウクライナとクリミアをめぐる状況をその指導部が幅広い歴史的および政治的な見地に立ってじっくりと見守り今も見守っている中国の国民に感謝しており、インドの自制と客観性を高く評価しています」

 プーチン氏は、また、ドイツ人にもメッセージを送り、東西ドイツ統一に関する決定が採択された際にはすべての国がその発意を支持したわけではなかったもののソ連はその歴史的統一を完全に支持した点を指摘し、こう述べた。「私は、みなさんがこのことを忘れていないと確信しており、ドイツの市民も再統一へ向けたロシア世界および歴史的ロシアの志向を支持してくれるものと思います」

 

*インタファクス通信およびロシア通信の記事を参照。