キエフ衝突を指揮しているのはプロ

ウクライナの首都キエフで18日、反政府のデモ隊と治安部隊の衝突が再燃し、19日午前までに、死者の数は25人に達した=ロイター通信撮影

ウクライナの首都キエフで18日、反政府のデモ隊と治安部隊の衝突が再燃し、19日午前までに、死者の数は25人に達した=ロイター通信撮影

ウクライナの首都キエフで18日、反政府のデモ隊と治安部隊の衝突が再燃し、19日午前(現地時間)までに、死者の数は25人に達した。情勢の悪化と多数の死傷者の発生に、ロシアの政府と社会も強い関心を示している。ロシアの議員はウクライナの武装勢力の攻撃的活動が激化していることを指摘し、ウクライナ政府に流血の事態収拾に向けた対策を講じるよう呼びかけている。専門家らは、政治的危機が内戦に発展しないよう、国際社会が介入すべきだと考えている。

 破壊や発砲を先導しているのはプロだと考えるのは、ロシア上院(連邦会議)国際委員会のミハイル・マルゲロフ委員長。「ウクライナ情勢のコメンテーターのほとんどが、『欧州広場』とその武装勢力の指揮をとっている人間は一人もおらず、これをコサック集団、”民衆的勢力”だと考えていた。ところがフルシェフスキー通りの衝突は、この考え方を覆した。武装勢力は非常に巧みかつまとまって、治安当局の攻撃を撃退し、防護盾、ヘルメット、こん棒を装備し、添加剤で火炎瓶をナパームに変えていた」。

 「明らかに組織化されていることが攻撃で見てとれた。さらに一時の中断後、『欧州広場』はリヴィフ、テルノピリ、イヴァノ・フランキウシクなどの地方まで勢力を広げている。地方では役所を占拠しているだけでなく、警察署を襲撃し、特殊部隊『ベルクト』の隊員の武装解除を行っている」とマルゲロフ委員長。

 ウクライナの野党「ウダル」のヴィタリー・クリチコ党首と、最大野党「ティモシェンコ連合」のアルセニー・ヤツェニュク党首は、このような軍事的能力の持ち主ではないとも述べている。「彼らの仕事は、野党政府の創設と憲法改革の実施に関する、西側との共同計画を作成すること。それによって西側から資金援助を受ける」。

 現時点でもっとも重要なのは、通りの衝突を止め、責任ある政治的対話を始めることだという。だがこれがウクライナ社会の結集とはならない可能性がある。「ウクライナ社会は分裂している。議員がケンカをしていないウクライナ議会を見たことがない」とマルゲロフ委員長。

 ウクライナ政府は国の治安を安定させるために、非常事態を宣言し、武器を使って治安を乱している参加者に対し、厳しい措置をとるべきだと考えるのは、ロシア上院国際問題委員会のイーゴリ・モロゾフ委員。「キエフに軍を配備し、非常事態を宣言し、戦時法にもとづいて活動する必要がある」とロシア通信に述べた。

 ビクトル・ヤヌコビッチ大統領には現在、「秩序を確立するための可能性が一つしかない。それは武器を持って警察や特殊部隊『ベルクト』に発砲している者を、大統領令で物理的に制圧し、もっとも厳しい措置を適用して、法律で裁くこと」と、モロゾフ委員は考える。

 ロシア下院(国家会議)国際問題委員会のアレクセイ・プシコフ委員長は、アメリカのジョセフ・バイデン副大統領によるヤヌコビッチ大統領への自制呼びかけが、過激派にとってシグナルになっていると考える。「バイデン副大統領は『最大限の自制』を過激派ではなく、ヤヌコビッチ大統領に求めた!こうやって過激派はまた、アメリカからの支援のシグナルを受けた」とツイッターに記した。

 もはや国際社会からの圧力によってしかウクライナの政治的危機を解決できないと考えるのは、政治学センター「北・南」のアレクセイ・ヴラソフ事務局長。「政治情報スポンサーである西側から野党に圧力がかからなければ、過激派は罰を受けないと感じて政治と混乱の間を行き来するため、協議のプロセスは維持できない。ロシア、欧州連合、アメリカの外国勢力がウクライナの政治情勢にいかなる影響も与えなかったら、もっとも恐ろしい内戦の様相を呈することになるかもしれない」。

 

*ロシア通信(1)(2)コメルサント紙の記事を参照。 

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