ミュンヘン安保会議で「ジュネーブ2」

国連の潘基文事務総長(左)、ケリー国務長官(中)、ラブロフ外相=AP通信撮影

国連の潘基文事務総長(左)、ケリー国務長官(中)、ラブロフ外相=AP通信撮影

第50回ミュンヘン安全保障会議が、1月31日から2月2日まで行われた。中心議題となったのは、ウクライナの混乱とシリアの内戦。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は31日にミュンヘン入りすると、すぐにアメリカのジョン・ケリー国務長官、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長、国連およびアラブ連盟のラクダル・ブラヒミ特別代表とシリア情勢について会談した。

 ブラヒミ特別代表は、1月31日に中断したシリアのアサド政権と反体制派主要組織「シリア国民連合」の和平協議の地、ジュネーブから、最後にミュンヘン入り。会談の中で2月10日に協議が再開されることを伝え、次の進展への期待を表明した。

 

「絶望感はない」 

 国連や他のジュネーブの国際機関に駐在するロシアの消息筋によると、「シリア和平協議では今のところ、現実的な解決策は見いだされていないが、絶望感はない」という。ブラヒミ特別代表もミュンヘンで同様の見解を示している。「アサド政権と反体制派の立場の違いがかなり大きいため、具体的な成果は期待していなかった。ゆっくりではあるが、氷は解け始めている。次の協議がより建設的かつ生産的になることを期待している」

 わずかな進展の証となっているのが、シリアの首都ダマスカスのヤルムク難民キャンプで暮らす、パレスチナ人数千人への人道支援。パレスチナ人はシリアで内戦が始まる前に避難していた。ブラヒミ特別代表は、ホムス市民への支援や、政権と反体制派の間の捕虜交換があまり行われていないことにも言及。「政権と反体制派の意見の不一致は依然として著しく、そうでないようにふるまうのは無意味」

 

意見の大きな隔たり 

 まず、シリアの移行政府について不一致がある。「シリア国民連合」は、新たな政府の人数とその機能について、1月30日に協議を始めようと考えていた。しかしながらアサド政権の代表団は、対テロ戦争が優先的であると主張。

和平協議の決裂を避けるため、潘事務総長は「ジュネーブ2」の首唱者であるロシアとアメリカの積極的参加を呼びかけた。

 ケリー国務長官はこれに対し、ア サド政権を和平協議に招く努力を行いながら、ラブロフ外相とともに活動していることを改めて伝えた。「アサド大統領が協議への緊急的参加にさらなる関心を 持つと思えるような、確固たる理由がある」。その理由には言及しなかった。

 

ラブロフ外相「ロシア政府に強い圧力」 

 ラブロフ外相は、シリア政府を動かすようロシア政府に強い圧力がかかっていることを明らかにした上で、反体制派の支持者と足並みがそろわないなかで、ロシア 一国では何も成し遂げられないことを伝えた。ラブロフ外相は翌日も同様に発言。「ロシアだけでは何もできない。外部の支持者が、シリア国民の合法的代表たるシリアの反体制派を利用してはいけない。ジュネーブでの協議を強いて、続けさせることが重要」

 さらに、ジュネーブの協議を、速やかに真の代表者協議にすることが必要だと述べた。「反体制派に影響力のある者には、代表団が協議でシリア社会のすべてを反映するよう、調整する義務がある。2012年6月30日付けのジュネーブ・コミュニケにもとづいた国連安保理の第2118号国連決議にそのような要件 が含まれており、その要件の実現にもとづいて話し合いが行われる」

 欧州・大西洋パートナーシップ理事会に対し、長期化している流血の戦いがシリアを世界中の過激派とテロリストの砦に変えてしまったため、彼らが母国に 戻った後で、その経験をどのように”生かす”かが予測不可能になっていることも、再度伝えた。「中東諸国におけるキリスト教徒や他の少数派に対する暴力が懸念を呼び起こす」とラブロフ外相。

 「シリア国民連合」のアハマド・ジャルバ議長は現在ロシアを訪問中。4日にラブロフ外相と会談し、次回「ジュネーブ2」の優先課題について話し合いを行う予定。