タタルスタン共和国のルスタム・ミンニハノフ大統領=写真提供:Press Photo
―国外におけるタタルスタンの認知度は、ユニバーシアードの前と後で変わりましたか?
私たちは、かねてから、カザンそしてタタルスタンが世界でもっと知られるよう努力しています。それは、この共和国へ投資を誘致するために是非とも必要です。投資家にとっては、投資先についてできるだけ多くを知ることが大事なわけですから。数年前には、外国人が知っているロシアの町といえば、モスクワとサンクトペテルブルグの二都市だけでしたが、私たちは、外国訪問のたびに、タタルスタン共和国が最もダイナミックに発展しつつある地域の一つであることを熱く語ってきました。
その面で、ユニバーシアードの効果は絶大でした。160ヶ国の約12000人の参加者と大勢の観客が訪れ、競技の模様が主だったスポーツ・チャンネルで放映されましたから。
―昨今、世界では、開催する都市や国にとってあまりにも大きな負担であるとして大がかりなスポーツ・イベントに地元の人々が頻りに反対していますが、ユニバーシアードの収支はいかがでしたか?それによる長期的な経済効果はどのくらいになると予想していますか?
私は、そんなふうに捉えてはいません。たしかに、大きなスポーツ・イベントを催すためには、開催そのものばかりでなく競技施設やインフラの建設にもお金がかかりますが、それらの施設や道路や立体交差は、閉幕後もなくなることなく、人々の役に立つのです。
ユニバーシアードの準備は、5年がかりで進められ、大会後、カザンは、質的な変化を遂げ、ずっと住みやすい町になりました。大会までの20年間で解決できなかった多くの問題が解消されたのです。
―これからオリンピックが開催されるソチやリオデジャネイロに対して、何かアドバイスはありますか?とくに、ソチは、五輪を目前にラストスパートに入っていますけれども…。
何よりも大事なのは、非難の声をあまり気にせず、粛々と準備を進めることです。カザンの場合にも、ユニバーシアードの準備は間に合うまいという人がたくさんおり、そういう人たちには、7月6日の初日の朝には準備がすっかり整います、と答えていましたが、その通り、私たちは、そのときまでに、すべてを建設し、準備し、組織することができたのでした。ですから、私は、ソチとリオデジャネイロのオリンピック組織委員会も期限内にすべてのプランを遂行できる、と確信します。私たちには、大きなスポーツ・イベントの準備と開催の経験を分かち合う用意があります。
―タタルスタンは、外国のビジネス界にもかなりよく知られていますが、外国人投資家は、どんな点に注目しているのでしょうか?
タタルスタンには、投資の対象がたくさんあります。外国企業にとって魅力的なのは、何といってもホテル産業ですね。とくに、ずっと多くの旅行者がカザンを訪れるようになったユニバーシアード以後には。タタルスタンは、あらゆるオファーに対応する用意があり、投資家の方々は、どのようなプロジェクトでもうちの共和国の指導部に歓迎されることを確信できるでしょう。
―大統領は、強力な国家管理と市場経済を具えた国としてシンガポールと中国を例に挙げたことがありますが、この両国の経験は、政治家としての貴方にとって何らかの実用的な意味を有しているのでしょうか?
私は、ロシアは盲目的に中国やシンガポールを見習うべきだ、とは思いませんが、タタルスタンは、経済成長を遂げている国々の経験に学んできました。
私たちは、すでに何年もシンガポールの経験に学んでおり、うちの共和国のすべての閣僚および地方自治体の首長が、その国の国家統治システムを知るために現地で研修を受けました。中国については、とくに地方自治体レベルの産業パークや経済特区の創設に関心があります。
*「ブリックス・ビジネス・マガジン」誌より転載
このインタビューは、モスクワ発カザン行きボーリング737旅客機の事故が発生した11月17日より以前に行われたものです。ルスタム・ミンニハノフ大統領の息子、イレク・ミンニハノフさんは、事故で死亡した50人の中に含まれていました。ロシアNOW編集部より、被害者すべてのご遺族に、お悔やみ申し上げます。
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