イラン核協議に急展開望むべからず

AP通信撮影

AP通信撮影

国連安保理常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア)にドイツを加えた6ヶ国とイランは、ジュネーブで核問題をめぐる実務協議を再開した。公式には、次回の協議を数週間後に実施することが決定した、とだけ伝えられている。だがイランは新しい提案を行った。

 モハマド・ジャバド・ザリフ外相率いるイラン側代表団は協議の冒頭、1年ないしはそれより前に事態を打開し得る3段階の措置について、1時間にわたって説明。3~6ヶ月で問題を解決する可能性については、アメリカのジョン・ケリー国務長官も協議前に言及していた。

 その計画の具体的な内容は伝えられていないが、6ヶ国が何を望んでいるかは明らかだ。ロシアのセルゲイ・リャプコフ外務次官は協議前、次のように述べていた。

 「イラン政府は内部で何度も協議を行い、核兵器を承認しない考えを発表した。しかし、国際社会としては、まだ解決されていない問題がある。不安解消につながるイラン上層部の決定が早ければ早いほど、国際社会は、核か平和かという、イランの選択をめぐってやきもきしなくなるだろう」。

 これは、イランの核開発計画の透明性と、平和利用の確認方法についての話だ。

 

イランが2段階の信頼回復策を提案 

 イランはジュネーブで、問題を解決する用意があることを示した。協議1日目が終了した際、核問題の協議担当者であるイランのセイエッド・アッバス・アラグチ外務次官は、イラン政府が国内の核施設に国連の査察官がより自由に入れるよう、取り計らう用意があることを伝えた。

 タス通信はイラン代表団の関係筋の話として、ジュネーブで6ヶ国に提案された措置には、2段階の信頼回復策があることを伝えている。

 それによると、3~6ヶ月の1段階目では、イラン政府が濃縮度20%までのウランの製造を停止する。またアラクの重水炉に関する詳細な情報を提示する用意もある。

 2段階目では、ウラン濃縮作業およびイランの核施設にある遠心分離機の数を低減する。この段階にかかる期間は1年以下。

 

抜き打ち査察に対する立場は不明 

 これはかなり譲歩しており、前進していることは明らかだ。ただイランの国営イスラム共和国通信は、今回行われた提案が、あらゆる核施設の抜き打ち査察を容認する核拡散防止条約の追加議定書の適用を、必ずしも意図するものではないと伝えている。

 包括的で極めて望ましい議定書ではあるが、たとえ非核でなかろうと確固たる軍事プログラムが存在するイランにとっては、極めてセンシティヴな問題だ。追加議定書適用についてのイランの立場は、次の協議で明らかになる。つまり、原則的な断固たる立場なのか、それとも、とりあえず相手の反応をうかがうために言ってみたにすぎず、交渉の余地があるのか、だ。

 

あてがはずれたイラン? 

 西側諸国がハサン・ロウハニ新大統領を極めて高く評価し、アメリカとイランの関係が改善していたことから、イラン側は協議の大きな進展を信じていたようだ。イランは現在、いささかがっかりしているように見える。

 アラグチ外務次官は、ジュネーブで記者団に対し、EUのマイケル・マン報道官の発言に当惑していると述べた。マン報道官は先に、イランが一歩前進して、国際的な義務を果たさなければならないと強調していた。

 「マン報道官は、協議の“和やかな雰囲気”について話していたものの、その発言は、我々を失望させた。もし、我々が今の段階で、ある種の“バランス”に達したと感じていたなら、我々も、相手に向って歩み寄り、協議が進展した、と言うことができただろう。だがいかなる歩み寄りも行われなかった」とアラグチ外務次官は批判した。

 

「まだ立場に数キロメートルほどの違い 

 イランは自分たちがこれまで通り”善人扱い”されておらず、ポケットをすべて裏返すよう要求されていることを理解している。イランはあくまでも同等の権利を求めているようだ。

 「イランは中東の大国だから、相応の認識を希望している」と、中東研究所の専門家であるセルゲイ・セリョギチェフ氏は話す。

 だが、これは簡単ではない。ロシア連邦安全保障会議国際安全問題専門家グループのメンバーであるアントン・フロポコフ氏は、イラン問題には長い歴史があ り、核開発計画だけでなく、イランとアメリカの関係そのものに関連していると話す。「イランは譲歩する用意があると言っているが、周りの国はじっくり構えるべきだ。30年以上の前の不和がなかった時代の信頼を取り戻すまでに、長期間を要する」。

 リャプコフ外務次官も、協議について次のように述べている。「イランと6ヶ国の立場には、数キロメートルほどの違いがある。少しずつしか進展していない」。