「化学兵器廃棄に参加する用意がある」

ロイター通信撮影

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先週末、シリア問題に関する歴史的な決議が採択された。この決議は、シリアの化学兵器を廃棄するためにそれを国際的な監視下に置くとの、ロシアの発案に基づいている。国連安保理での採決の直後、ロシアのラヴロフ外相は、コメルサント紙に対し、いかにロシアの“パートナーたち”が合意を反古にしようとしたか、また、シリアの化学兵器廃棄の妨げになるものは何かといった点について語った。

ケリー米国務長官は、シリアに関する合意を「歴史的なフォーマット」と呼び、ファビウス仏外相は、「国連安保理はやっと使命を果たした」と述べたが、こうした評価に賛成か?

 決議それ自体が雄弁に語っていると思うので、我々はよけいな解釈を加えないようにしている。ノーマルな人間が見れば、一目瞭然だからだ。

 概して外交には、コンセンサスが得られた後になって、自分に必要だと思われる解説を施し、ニュアンスを付け加える“伝統”がある。

 我々も、この決議が、武力行使を容認する国連憲章第7章に基づいていないことを強調し、そうした“陰影”を付けた。主な駆け引きは、この点をめぐって行われ、決議では、いかなる両義的な解釈もあり得ないようになっている。

 シリア指導部が自発的に化学兵器禁止条約に加わったことも、我々は強調した。彼らが参加した理由は重要ではない。武力行使を恐れたといわれているが、私はそんなことには関心がない。重要なのは結果だ。

 また我々にとって肝心なのは、国連安保理が決議において、化学兵器廃棄、及びその作業を行う人間の安全について、責任を誰が担うかを定めたことだ。責任は第一にシリア政府が負うが、反政府勢力も負っている。

 化学兵器を国家以外の組織つまり反政府勢力とその武装集団に渡すことを容認しないと記されているのも重要だ。

 シリアの隣国は、反政府勢力への化学兵器供給のために自国の領土を利用されることを許容しない旨、強調している。

 この決議が、誰に何をすることを強いるかとか、国連安保理の“目覚め”だとか云々することは、我田引水だ。

 こういうことに対しては、私は冷静に構えている。くどいようだが、重要なのは、決議が、ケリー国務長官とのジュネーヴ合意に十分合致していることだ。この合意にしたがい、化学兵器を管理、調査し、その廃棄の道筋を決める主な機関は、化学兵器禁止機関(OPCW)ということになった。

 

―3日間の交渉で、あなたはケリー長官とあらゆる点で合意に達したように見えたのに、その後2週間にわたり、同じ点についてまた合意し直すことになったのはなぜか?

 これには2つの側面がある。第一に、我々はジュネーヴでは、国際機関の公式決定で用いられる法律用語をチェックした上で、法的文書を作成した訳ではなかった。ジュネーヴ合意は、こうした用語による記述にできるだけ近づけはしたものの、細部の確認が必要だった。

 第二の理由は、実を言うと、米国側が、状況を引っくり返して国連憲章第7章に戻ろうとしたことだ。おかげで、交渉の時間が多少長引くことになった。だが結局、重大な意義をもつジュネーヴ合意に沿うことになり、満足している。

 全体としては、良い結論が出た。シリア問題へのアプローチの変化が盛り込まれているわけでも、軍事力行使による恫喝を国連安保理が承認したわけでもない。すべては、政治対話の枠内にとどまっている。

 

だが、決議に違反した場合については、但し書きが付いているが。

 確かに我々は、シリア政府側であれ、反政府勢力であれ、何らかの違反を犯した場合には、綿密な調査の後、国連安保理に報告すべきことと記した。そんなことが起きないように祈るが、いずれかが化学兵器を使用するケースも、これに含まれる。どちらかが決議に違反もしくは化学兵器を使った、という明らかな確信を得た場合は、第7章に基づく決議を採択する用意がある。

 

化学兵器廃棄に着手するには、まず何をしなければならないか?101日にも、化学兵器禁止機関(OPCW)の査察官がシリアに向う可能性があると発表されたが。

 その通り。OPCW の10~12人の査察官から成る第一陣が、設営係としてシリアに立つ。彼らは、設営の場所と作業の手順を決めることになる。我々としては、この作業のあらゆる面に参加する用意がある。査察活動にも、現地に設置される可能性がある、国連とOPCWの調整機関にも、また安全確保のために創設されるだろう機関にも――この機関はシリア警察を支援することになる。

 

シリアに関する合意は、露米関係にどう影響するか?

 私なら長期的な予想など立てない。なるほど、両国の対話では時折、十分に理解し合えないこともあるが、ほとんどいつも解決を見出すことができるので、全般的な協力関係を損なうようなことはない。双方ともに、協力の重要性を肝に銘じているからだ。それはとくに、テロリズム、麻薬取引、組織犯罪、大量破壊兵器拡散の防止など、焦眉の問題について言える。ご覧の通り、シリアの化学兵器の問題でも、両国は速やかに協力することになった。

 我々はリアリストなので、感情の行き違いはいずれ過ぎ去ると承知している。スノーデンだろうが、他の何だろうが、本当の怒りだろうが、怒ったフリだろうが、みんな過ぎ去る。そして、国際社会の安定にとっては、露米関係が戦略的重要性を有するという認識が残ることになる。