統一地方選で野党が躍進

ロイター通信撮影

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ロシアで8日、統一地方選が行われた。もっとも興味深い結果を残したのはエカテリンブルク市長選で、野党「市民プラットフォーム」から立候補したレオ ニード・ロイズマン氏が当選。モスクワ市の投票率は予想外に低く、約33%に終わった。それでもプーチン大統領の側近セルゲイ・ソビャニン・モスクワ暫定 市長は、第1回投票で過半数を獲得し、当選したが、反政権派ナバリヌイ氏は予想の3倍の27.27%を獲得した。

 今回の統一地方選では、8の州や共和国の首長選と、16の州や共和国の地方立法議会の議員選を含む、さまざまな選挙が行われた。

 

ナバリヌイ氏は27.27%を獲得 

 もっとも注目を浴びた選挙の一つがモスクワ市長選だ。ソビャニン暫定市長が51.33%を獲得した一方で、「ロシア共和党・人民自由党」推薦のアレクセ イ・ナバリヌイ氏は予想を大きく上回る27.27%を獲得。社会学者は当初、ソビャニン暫定市長60%、ナバリヌイ氏9%と考えていた。

 モスクワ市長選の 第2回投票は行われずに、ソビャニン暫定市長は市長の座を守ることとなった。ナバリヌイ氏の支持者は、正式に発表された投票結果に反発し、9日にはナバリ ヌイ氏を支持するデモを決行。

 

モスクワ市長選の投票率は約33%

 今回の投票率約33%は極めて低いと言える。10年前にモスクワ市長選が行われた時には、50%をこえていた。

 「サンクトペテルブルクの政治」基金のミハイル・ヴィノグラドフ理事長によると、この低投票率には投票日の日程の悪さと有権者の無関心の2つの要因があげられるという。「野党支持派だけでなく、 すべての有権者の無関心ぶりが目立つようになった。自分たちが行っても変わらないからと、投票に行かない」。

 

「違反は少数」 

 モスクワ市長選では違反を警戒して、入念な準備が行われたが、これといった問題は起きなかった。有権者の多くが日中に投票に訪れた。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を見る限り、ナバリヌイ支持派がもっとも規則に忠実だった。

 投票日にロシア全土から中央選挙委員会に送られた違反信号は45件で、うち17件はモスクワ、残りは16地域からのものだった。スヴェルドロフスク州の 候補の一人が、政治工作のSMS(ショート・メッセージ・サービス)を配信したとして、調査が行われている。ヤロスラヴリ州では有権者の買収が認められ た。

 有権者権利保護非営利組織協会「市民の管理」の代表は、今回の選挙が落ち着いて行われ、違反は下院(国家会議)選挙や大統領選挙の時よりもはるかに少なかったことを伝えている。

 政治工学センターのアレクセイ・マカルキン副所長は、今回の選挙がもっともクリーンだったと話す。2011年12月に人々が公正な選挙を求めて路上で抗議活動を行ったことが、これに影響しているのでは、と考えている。

 

エカテリンブルク市長選は野党のロイズマン氏が勝利 

 もっとも驚きの結果を示したのが、ウラル地方の大都市である、エカテリンブルク市の市長選だった。野党候補である「麻薬のない街」基金のエヴゲニー・ロイズマン理事が30.11%を獲得し、与党「統一ロシア」のヤコヴ・シリン候補を破った。

 地方立法議会の議員選では、「統一ロシア」が強かったものの、意外な結果も見られた。例えばクラスノヤルスクでは、中道左派の政党「ロシアの愛国者」が先頭に立った。選挙で2番目の人気の高さを誇ってきた共産党は、一部地域で自由民主党に負けていた。

今回の選挙結果は、ロシアの各地域が異なる速度の生活を送っていることを示した。「昔のままの生活を維持している地域では、与党が大勝し、これまでの選 挙結果とさほど変わらない。

一方で状況がまったく違う大都市では、野党が支持者を獲得し、与党に問題が生じているなど、投票に異なる傾向が見られる。これ までと同じように“行政的手段”を活用することができなくなっている。その結果、選挙には投票意欲の強い政権支持者のみが訪れ、残りの人は休暇を優先してしまっ た。それが与党の得票数低下の原因。与党支持派は自分たちが行っても行かなくても同じだと考えたのだ」と専門家は説明する。

 

低投票率が野党に有利に 

 これまで、低い投票率は政権に有利だと考えられたきたが、今回の選挙は反対側の側面を示すこととなった。マカルキン副所長はこう説明する。

 「低投票率が 政権に有利なのは、“行政的手段”がある場合。ない場合には野党に有利になる。ナバリヌイ氏の支持者は、当選しないのは承知の上だったから、彼の実績のなさや大都市の管理の難しさといった点は最初から問題外だった」。

 与党の当選者はこの選挙結果を受けて、反対派の有権者を今後無視せずに、すべての住民の利益を考えるようになると、専門家は考える。