首脳会議の主要な議題は経済成長の減速になる =ロシア通信撮影
サンクトペテルブルク市政府がG20参加者のための自動車道路整備を急ぎ、不法移民の問題解決を約束している間に、メディアはスノーデン氏を発端としたオバマ大統領のG20に対する出方を伝え、世界の政治家は黙々とG20会議の準備をしている。
9月の首脳会議の議題に重要な影響を及ぼしたのは、7月に行われたG20財務相・中央銀行総裁会議のようだ。財務大臣らは、長期投資拡大の可能性を探る計画、反脱税計画、そしてG20首脳会議活動計画の、3計画を共同声明で発表。具体的な活動計画は9月までに作成、提出される。共同声明に記されている包括的計画と は、雇用の場をつくり、バランスの取れた世界経済の成長をうながすものだ。
主要議題は経済成長の減速
首脳会議の主要な議題は経済成長の減速になる。これには長引くヨーロッパの景気後退とアメリカの低い雇用率だけでなく、新興国のGDP成長率の鈍化も影 響を及ぼしている。
「G20では、ここ数年見られる新興国の経済成長の減速に焦点を合わせる。これは循環プロセスや構造改革の不足などと関連するもの」と、 国際的な市場予測会社「IHSグローバルインサイト」のマクロ経済上級専門家、ナリマン・バレヴェシュ氏は話す。
国際通貨基金(IMF)は7月、今年の世界経済成長率見通しを3.3%から3.1%に引き下げた。この際、先進国の比較的低い+1.2%という数字は見 直されていないが、新興国のGDP成長率は、中国8%から7.8%、ブラジル3%から2.5%、インド5.7%から5.6%といった、より悲観的な予測と なった。
ロシアでも警告音がそこら中に鳴り響いている。製造業購買担当者指数(PMI)は7月、2011年8月以来初めて、また2009年12月 以来最低となる、50以下になった。ロシアの2013年のGDP成長率見通しは、これより以前に引き下げられており、IMF2.5%、世界銀行2.3% だった。
投資拡大に焦点
ロシアはG20議長国として、世界経済を回復させるための投資拡大に意識を集中している。
経済専門家グループのエヴセイ・グルヴィッチ代表はこう話す。 「経済回復のテーマに2つの主要な課題が含まれる。それは投資プロセスという発展の原動機を始動すること、そして世界的な金融構造の構築と新たな危機を招 く不均衡の防止による、リスク低下だ」。
「ドイツ銀行」の上級エコノミスト、ヤロスラフ・リソヴォリク氏は、G20参加国にとって重要な課題とは、投資を効果的に運用できるような研究所の創設 だと考える。オランダ系の銀行「ING」のエコノミスト、ドミトリー・ポレヴォイ氏によると、投資の有効性の管理を強化し、国の投資家支援政策を変えるこ とが必要だという。
経済の非オフショア化
G20のもう1つの重要な課題としてあげられるのは、経済の非オフショア化とそれに関連する反脱税対策だ。「租税回避国が自覚し、自国に資金を流入させないようにすることが極めて重要」とリソヴォリク氏。
反脱税対策は、G20での協議が予定されている、反汚職対策と密接に関連している。ロシアの主導によって作成開始され、次の議長国オーストラリアによっ て引き継がれるこの計画は、反汚職機関の独立、汚職資金の洗浄防止、汚職で摘発された役人の移動制限を定める。政治家らは、経済界も汚職防止の当事者にな ると考えている。
金融の構造改革という“宿題”
世界の主要な政治家が取り組む問題や上記の問題は、ロシアがG20の他の議長国から受け継いだ“遺産”だ。特に世界的な金融構造と金融規制の改革はそれ である。新興国のIMFのクォータ(出資割当額)見直しは、2010年にG20が承認したものの、今のところ改革は行われておらず、どこよりもBRICS 諸国を不安にさせている。
2011~2012年からG20で活発に議論されていた通貨安競争のテーマは、すでにその勢いをなくしている。ロシアが議長国となるまで、G20の参加 国は中国とアメリカの対立、そしてブラジルの為替操作に懸念を示していた。
ところが日本が金融緩和を行い、円安を招いても、政治家側からの強い非難はこれ までのどの国際会議でも出ていない。これはつまり、経済成長刺激という重要な課題を実施するために、各国が金融緩和政策という 手段を使うことを許容してい るのである。
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