G20で経済成長を刺激せねば

首脳会議の主要な議題は経済成長の減速になる =ロシア通信撮影

首脳会議の主要な議題は経済成長の減速になる =ロシア通信撮影

サンクトペテルブルクで9月5、6日に開催される20ヶ国・地域(G20)首脳会議では、経済成長の刺激という国際社会にとって重要な課題の解決の道筋を、最終的に定めなければならない。ロシアは議長国として、最初の日程に投資拡大の議論を設定している。

 サンクトペテルブルク市政府がG20参加者のための自動車道路整備を急ぎ、不法移民の問題解決を約束している間に、メディアはスノーデン氏を発端としたオバマ大統領のG20に対する出方を伝え、世界の政治家は黙々とG20会議の準備をしている。

 9月の首脳会議の議題に重要な影響を及ぼしたのは、7月に行われたG20財務相・中央銀行総裁会議のようだ。財務大臣らは、長期投資拡大の可能性を探る計画、反脱税計画、そしてG20首脳会議活動計画の、3計画を共同声明で発表。具体的な活動計画は9月までに作成、提出される。共同声明に記されている包括的計画と は、雇用の場をつくり、バランスの取れた世界経済の成長をうながすものだ。

 

主要議題は経済成長の減速 

 首脳会議の主要な議題は経済成長の減速になる。これには長引くヨーロッパの景気後退とアメリカの低い雇用率だけでなく、新興国のGDP成長率の鈍化も影 響を及ぼしている。

 「G20では、ここ数年見られる新興国の経済成長の減速に焦点を合わせる。これは循環プロセスや構造改革の不足などと関連するもの」と、 国際的な市場予測会社「IHSグローバルインサイト」のマクロ経済上級専門家、ナリマン・バレヴェシュ氏は話す。

 国際通貨基金(IMF)は7月、今年の世界経済成長率見通しを3.3%から3.1%に引き下げた。この際、先進国の比較的低い+1.2%という数字は見 直されていないが、新興国のGDP成長率は、中国8%から7.8%、ブラジル3%から2.5%、インド5.7%から5.6%といった、より悲観的な予測と なった。

 ロシアでも警告音がそこら中に鳴り響いている。製造業購買担当者指数(PMI)は7月、2011年8月以来初めて、また2009年12月 以来最低となる、50以下になった。ロシアの2013年のGDP成長率見通しは、これより以前に引き下げられており、IMF2.5%、世界銀行2.3% だった。

 

投資拡大に焦点 

 ロシアはG20議長国として、世界経済を回復させるための投資拡大に意識を集中している。

 経済専門家グループのエヴセイ・グルヴィッチ代表はこう話す。 「経済回復のテーマに2つの主要な課題が含まれる。それは投資プロセスという発展の原動機を始動すること、そして世界的な金融構造の構築と新たな危機を招 く不均衡の防止による、リスク低下だ」。

 「ドイツ銀行」の上級エコノミスト、ヤロスラフ・リソヴォリク氏は、G20参加国にとって重要な課題とは、投資を効果的に運用できるような研究所の創設 だと考える。オランダ系の銀行「ING」のエコノミスト、ドミトリー・ポレヴォイ氏によると、投資の有効性の管理を強化し、国の投資家支援政策を変えるこ とが必要だという。

 

経済の非オフショア化 

 G20のもう1つの重要な課題としてあげられるのは、経済の非オフショア化とそれに関連する反脱税対策だ。「租税回避国が自覚し、自国に資金を流入させないようにすることが極めて重要」とリソヴォリク氏。

 反脱税対策は、G20での協議が予定されている、反汚職対策と密接に関連している。ロシアの主導によって作成開始され、次の議長国オーストラリアによっ て引き継がれるこの計画は、反汚職機関の独立、汚職資金の洗浄防止、汚職で摘発された役人の移動制限を定める。政治家らは、経済界も汚職防止の当事者にな ると考えている。

 

金融の構造改革という“宿題” 

 世界の主要な政治家が取り組む問題や上記の問題は、ロシアがG20の他の議長国から受け継いだ“遺産”だ。特に世界的な金融構造と金融規制の改革はそれ である。新興国のIMFのクォータ(出資割当額)見直しは、2010年にG20が承認したものの、今のところ改革は行われておらず、どこよりもBRICS 諸国を不安にさせている。

 2011~2012年からG20で活発に議論されていた通貨安競争のテーマは、すでにその勢いをなくしている。ロシアが議長国となるまで、G20の参加 国は中国とアメリカの対立、そしてブラジルの為替操作に懸念を示していた。

 ところが日本が金融緩和を行い、円安を招いても、政治家側からの強い非難はこれ までのどの国際会議でも出ていない。これはつまり、経済成長刺激という重要な課題を実施するために、各国が金融緩和政策という 手段を使うことを許容してい るのである。