“ホドルコフスキー氏は政治犯にあらず”

=ヴィタリー・ベロウソフ / ロシア通信撮影

=ヴィタリー・ベロウソフ / ロシア通信撮影

ロシアの大手石油会社「ユコス」の元社長ミハイル・ホドルコフスキー氏とその共同所有者だったプラトン・レベジェフ氏の弁護人は、2人の刑事訴追に政治的動機があったとして、欧州人権裁判所(ECHR)に控訴していたが、ECHRは25日、これを却下した。

 ECHRは2人に対する控訴審判決を下した。評決は、「ホドルコフスキー被告とレベジェフ被告の訴追に政治的動機があったとする控訴について、欧州人権 条約第18条(許容制限)の違反は認められなかった」。ECHRはまた、公正な審理に対する、ホドルコフスキー氏とレベジェフ氏の権利は侵されていないと 判断した。

 ホドルコフスキー氏は2005年、一連の重罪の容疑者となり、「ユコス」は結果的に破綻。2010年には別の容疑でも裁判が行われている。これらの審理 に対する社会活動家の意見はさまざまだ。 

 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」はホドルコフスキー氏を「良心の囚人」と呼んだ。レベジェフ氏は共犯者とさ れている。ホドルコフスキー氏が刑期を終えるのは、2014年10月25日。

 

「ロシア政府側に政治的動機は見出されない」 

 ECHRは2011年5月、逮捕の際の手続きに違反があったとし、起訴前の取り調べや審問で拘留された際、また拘留に対する不服申し立ての検証の際に、人間の尊厳が傷つけられた事実を認めた。だが、ホドルコフスキー氏の刑事訴追に、ロシア政府の政治的動機があったことを証明するような、確かな証拠は提示されて いないとした。

 ECHRは今回、ロシア政府に対し、ホドルコフスキー氏への1万ユーロ(約130万円)の支払いを命じた。一方で、元メナテップ社社長のレベジェフ氏に対してはなかった。

 

「実は露政府にマイナス」 

ミハイル・ホドルコフスキー氏

 ミハイル・ホドルコフスキー氏はロシアの著名な実業家。一般収容所懲役11年の刑を言い渡され、現在服役中。1997年から2004年まで、ロシアの大 手石油会社「ユコス」の共同所有者および社長だった。2003年に逮捕。逮捕された時点で、世界有数の資産を保有していた。

 大統領の諮問機関「社会評議会」のメンバーで、有名なジャーナリストのニコライ・スワニゼ氏は、この決定がロシア政府のイメージを良くするどことか、かえって悪くすると話す。    「ECHRには明確な基準があるため、それに合わせたら政治的な部分は認められなかったようだ。だが複数の訴えが検証され、ユコスの分割は違 法だと認められた。ECHRの決定にもとづいて、ユコス裁判の一審判決の多くを見直さなければならない。この決定は、ホドルコフスキー氏にとって落胆させるようなものではなく、政 府に大きなマイナスを与えた」。

 スワニゼ氏は、このような裁判が、ロシアの司法制度のイメージを悪くすると説明する。

 「審理には常に疑問がつきまとい、裁判官には政治的関与や汚職の嫌 疑がかけられている。今回のことはロシアのイメージよりも、国の環境に影響する。裁判所は独立機関ではなく、行政府の下部組織と見なされ、その結果、言論 の自由や競争経済まで疑問視されるようになっている」。

 

「欧州人権裁判所が弱気な決定」

 モスクワ・ヘルシンキ・グループのリュドミラ・アレクセーエワ代表は、ホドルコフスキー氏は「良心の囚人」だと確信しており、ECHRの決定に驚きを 隠せない。

 「ECHRには、ホドルコフスキー氏が政治犯であるか否かを決定する権利はない。アムネスティ・インターナショナルがすでに良心の囚人だと認め ている。ECHRが政治的な部分を見いださなかったということは、ECHRが不公正で弱気な決定を下した初めてのケースということになるのではないか。こ のような決定は、ロシア人が高く評価している、ECHRのイメージにマイナスとなる」。