ロイター通信撮影
ロシア入国の手続きに3ヶ月?
スノーデン氏は一時亡命申請を移民局に行ったものの、ロシアに入国できる書類をまだ受け取っていない。スノーデン氏を支援しているアナトリー・クチェレナ弁護士は、ロシアの官僚制度がこの遅れの原因だと話す。
「今のところ書類は発行されていない。ある程度の時間が必要だ。これはロシアにとって初めてのケースであるため、移民局の職員を含む、さまざまな人に時間が必要になる。一定の手続きがあり、それは移民局が行っている」。
スノーデン氏の申請は現在、移民局が査収しており、長ければ3ヶ月ほど続く可能性がある。申請が提出されたのは7月16日のことだ。
当面トランジット・ゾーン暮らし
クチェレナ弁護士によると、スノーデン氏はしばらくトランジット・ゾーンに残るという。ここでの生活条件は悪くなく、資金も「多くはないが当面は足りる」。「スノーデン氏はそれなりに元気で、この問題の解決を待ちきれないでいる」。
クチェレナ弁護士は、Tシャツ2枚、Yシャツ、ジーンズなどの服、焼き立てのピザ、またフョードル・ドストエフスキーの「罪と罰」、アントン・チェーホフ作品集、ロシアについての英語の本などを差し入れている。
スノーデン氏はシェレメチェボ空港に4週間滞在している間、何度か計画を変更したという。今は自分の将来をロシアに見い出し、中南米に近々渡ることについては話さなくなった。また、「Privet(やあ)」、「Poka-Poka(じゃあね)」、「Ya tebe pozvonyu(君に電話するよ)」といったロシア語も少し覚えた。
3人のロシア人女性が結婚を希望
「将来の計画は、ロシアで働き、可能であれば旅行をし、自分の生活を築くこと。資金はそれほど多くないが、当面は足りる。とにかくこの問題の解決を望んでいる」とクチェレナ弁護士は話し、スノーデン氏がロシアに残る理由は、「この国を見たいから」であることを明らかにした。3人のロシア人女性がすでに、スノーデン氏との結婚と生活場所の提供を申し出ていることについて、本人からは感謝のコメントがあったという。
「今のところ他の国に渡航しようとはしていない。スノーデン氏は1年の亡命申請を行った。最終的な移住先は現時点でロシア。将来についてはまだはっきりと考えていない。ロシアは人権の問題を完全に解決しなければならないものの、高貴な国である」とクチェレナ弁護士はテレビ局「ロシア24」のインタビューで話している。
米に好都合な手続きの遅れ
ロシアの官僚制度的な手続きの遅れは、アメリカからの要請にうまく合っている。「スノーデン氏を空港から脱出させるような、いかなる動きも失望させる」と、ジェニファー・サキ国務省報道官は話した。
スノーデン氏1人のためにアメリカとの関係が悪化するような事態を避けるため、ロシア政府は可能な限りの手を尽くし、中南米に早めに送りだそうとしていると、ロシアの一部専門家は考えている。
「アメリカとの関係が崩壊することはない。政治は切れ目なく続くプロセスだから、関係が難しくなることもある。今回起こったことがそれだが、大してこじれたわけではない。ロシアはスノーデン氏をできるだけ早く渡航させるための法的手段を取るのではないか。もしかしたら中南米との関係を生かして、この地域への亡命手続きを加速してもらうことになるかもしれない。可能性はいろいろあるし、クチェレナ弁護士も大活躍している」と、戦略的評価・分析研究所の所長、外交・国防政策会議のメンバー、「ロシア・アメリカ」協会の副会長を務める、セルゲイ・オズノビシチェフ氏は話す。
ワシントンで働く政治学者のニコライ・ズロビン氏は、アメリカの野党の共和党が、ロシアに対する厳しい措置をオバマ大統領に取らせようとするかもしれないと考える。「スノーデン氏の問題は、オバマ大統領に対するアメリカの野党の態度に影響を及ぼす。この問題へのロシアの関与の仕方には、アメリカは総じて満足していた」。
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