サミットの政治的な議題は、国際テロリズムの防止、大量破壊兵器の不拡散、通常兵器の不法取引、地域紛争といった問題であり、とくに、G8議長国のイギリスによって打ち出された、武力紛争時の女性と子供に対する性的暴力の防止に関する提案が、注目されている。=アレクサンドル・ミリドーノフ撮影/コメルサント紙
サミットのホストを務めるイギリスのデーヴィッド・キャメロン首相は、アーン湖でG8の首脳がこのフォーラムの原点に立ち返ることを望んでいる。1975年、フランスの大統領の発意に基づいて、ランブイエ城で、7ヶ国の首脳による「暖炉の前での会合」が行われた。
あれからほぼ40年が経ち、サミット開催国のイギリスは、フォーラムを当初の原則へ戻そうとしている。今回は、大仰なコミュニケも、長い自動車の列も、首脳に随行する大勢の役人の姿も、見られないだろう。G8の首脳は、善き意図を平和の強化とグローバル経済の成長をめざす具体的な措置へ転じる責任を確認しあう意向だ。
キャメロン首相はプーチン大統領と最初に会談
そうした措置は中期的な展望を具えているだけに、イギリスは、最大限に実りある成果が得られるよう、2014年にG8の議長国を務めるロシアとより緊密に協力しなければならない。それゆえ、キャメロン首相がサミットにおいてロシアのウラジーミル・プーチン大統領と最初に会談を行うのも、うなずける。
キャメロン首相によれば、経済分野に関するサミットのプログラムは、「三つのT」、すなわち、トレード、タックス、トランスパレンシー(貿易、関税、透明性)に集約でき、「これは、三つの不可分の成長のファクターである」と同首相は述べている。
サミットの政治的な議題は、国際テロリズムの防止、大量破壊兵器の不拡散、通常兵器の不法取引、地域紛争といった問題であり、とくに、G8議長国のイギリスによって打ち出された、武力紛争時の女性と子供に対する性的暴力の防止に関する提案が、注目されている。
シリア情勢がメインテーマの一つ
サミットでは、すでに2年余り続いており8万人以上の死者を出しているシリアにおける紛争に、特別の注意が割かれる。
一連の意見の相違にもかかわらず、ロシアとアメリカは、シリアに関する国際会議の開催およびシリアの政府と反政府勢力の間の対話へ向けた最大限の努力を行っている。先週(6月13日)、マイケル・マクフォール駐露アメリカ大使は、シリアにおける化学兵器の使用が、サミットにおけるロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアメリカのバラク・オバマ大統領の会談のテーマの一つとなろう、と語った。
半島情勢の“利用”を警戒
サミットの参加者たちは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の弾道ミサイルおよび核兵器開発計画についても協議するものと思われる。イギリスのウィリアム・ヘイグ外相は、「もしも北朝鮮が新たなミサイル発射もしくは核実験を実施するなら、われわれは北朝鮮をいっそう孤立させる断固とした措置に踏み切る」と警告した。
一方、ロシアは、北朝鮮の行動が、地域における軍事プレゼンスの増強、地域への軍事力の注入、ミサイル防衛システムの配備、および、北朝鮮のミサイル核プログラムによって現実に創り出される脅威の除去という範囲を超えたその他の行動のための口実として利用されることには、断固反対している。ロシアは、政治的・外交的手段によって打開をはかり、六ヶ国(ロシア、中国、北朝鮮、韓国、米国、日本)協議の再開をめざすべきである、とみなしている。
中東情勢全般の打開への道筋をつけられるか
段階性と相互性の原則に基づいた政治対話は、イランの核プログラムをめぐる状況打開のための基礎となりうる。ロシアは、先日、アルマトイとイスタンブールで行われたイランと国際調整役六ヶ国(国連安保理常任理事国とドイツ)の協議は、そうした対話が現実的な見通しを有していることを証明している、と考えている。一方、西側は、イランが核技術の向上をはかりつつ時間かせぎをしていることが交渉の進展を妨げている、とみなしている。
サミットでは、中東調整の問題に関する相互理解が達せられるものとみられる。G8の外相は、パレスチナ問題における袋小路の状態は明らかに長引いており、パレスチナとイスラエルの間の交渉プロセスの行き詰まりの打開にしっかり取り組む必要があることを認めており、中東紛争に関する国際調整役による会議のすみやかな開催を求めている。ロシアは、「中東カルテット」(ロシア、アメリカ、EU、国連)の活動に、アラブ諸国ならびにイスラエルとパレスチナを参加させるよう主張している。
とはいえ、すべてこうした提案がサミットの最終コミュニケに盛り込まれるかどうかは、フォーラム参加者間の具体的な協議の行方にかかっている。
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