プーチンが汚職に警告シグナル

プーチン大統領は、公人、その配偶者、その未成年の子供の、収入・支出申告書の提出手順を定めた2件の大統領令に署名をした。=タス通信撮影

プーチン大統領は、公人、その配偶者、その未成年の子供の、収入・支出申告書の提出手順を定めた2件の大統領令に署名をした。=タス通信撮影

ロシアの公人の汚職防止対策が、新たな段階に進んだ。国の指導者が個人的に、地方政府までのあらゆるレベルの役人の収入と支出について、申告書を要求することができるようになった。

役人とその家族の収入申告書の提出は、2008年に義務化されていたが、2011年には「中央の役人」の範疇に、中央銀行、年金基金、義務医療・社会保険基金、国営企業の幹部も加えられた。今年からは収入だけではなく、多額の支出についても申告しなければならなくなっている。また、国会議員などの政治家 も申告をしなければならない。

 ウラジーミル・プーチン大統領は、公人、その配偶者、その未成年の子供の、収入・支出申告書の提出手順を定めた2件の大統領令に署名をした。この書類は、すでに国会で採択済み、および審議中の、一連の反汚職法案の続きである。

公人やその家族が、世帯収入の3年分以上の価格の土地、不動産、交通手段、証券などを取得した場合の特別書類の提出方法が、今年初めに発効した、国家公務員の収入と支出の“釣り合い”に関する法律への追加要件として、定められている。今回の大統領令では、提出要請があった日から15日以内に、購入した物品の資金の出所を示した申告書を、提出しなければならないとされている。

 

 申告書の調査を要求できる権利も付与

 新しく加わった重要な点の一つとして、大統領と大統領府に、地方政府までのあらゆるレベルの役人の申告書の調査を要求できる権利を付与していることがあげられる。これだけでも、潜在的な汚職公務員や政治家に恐怖感を与えられる。調査を実施するのは、国家機関・人員管理局および汚職防止大統領会議だ。

 大統領令はまた、汚職の事実を通告した者を保護している。通告者を不当な責任から守る機関は国家であり、国庫から弁護士費用もまかなわれる。

 セルゲイ・イワノフ大統領府長官は、10月1日までに、2012年度の申告の結果をプーチン大統領に報告する。「汚職防止は流行やデモンストレーショ ン、また他の重要な問題から世間の注意をそらそうという試みではない。これは長期的な、言うなれば、戦争だ」と長官は述べた。多くの公人が違反行為をした ことによって、「信頼喪失」し、役職を追われている。2011年度の調査結果により、322人が失脚している。

 

 抜け穴はあるが・・・

 政府は申告者を公人、その配偶者、その未成年の子供に限定し、対象者を近い将来拡大することは計画していない。資産を成人した子供や親の名義にすれば、この法律が回避可能となってしまうことを、専門家は幾度となく指摘してきた。

 下院(国家会議)反汚職委員会のアレクサンドル・ヒンシュテイン副委員長は、大統領やその側近が申告書を一枚一枚調べることは、物理的に不可能だと話す。だが、このような可能性があること自体が、汚職をする者に対する警告シグナルや“凶兆”になるのだという。「この法律に反応しないような公人は、そもそも 公の機関で仕事をすべきじゃない」とヒンシュテイン副委員長。

 また市民の監視は、潜在的な汚職公務員や政治家の調査シグナルを、大統領側に与えるものになる。「例えば私が曽祖母に別荘を購入したとして、マスコミや ブロガーが私には曽祖母などいないと書いたら、委員会が調査を行うきっかけになる。委員会の調査で疑惑が晴れなければ、大統領が目を向けることになる」。