世界経済の将来を守るために

=リカルド・マルキナ撮影

=リカルド・マルキナ撮影

モスクワで2月14日〜16日に開かれたG20財務相中央銀行総裁会議では、世界の金融の将来に対する懸念が相変わらず支配的だった。

 主要20カ国・地域(G20)の財務大臣、中央銀行総裁など主な経済、金融機関の代表が、現在の世界経済への脅威に対処するためにモスクワに集まったが、メキシコのロスカボス・サミットで特徴的だった悲観論は未だに消えていないようだ。 

スコルコヴォの意義

 アントン・シルアノフ財務相は、科学技術の革新におけるロシアの潜在的可能性について、ロシア版シリコンバレーを目指す、技術革新センターのスコルコヴォ基金の意義を強調した。

 2月15日にモスクワ開催されたG20財務相会議の間、様々な国の中央銀行総裁は、「我々は過去に過ちを犯した」と呪文のように繰り返した。 

 ここ5年間深刻な危機に巻き込まれている世界の金融システムをいかに修正するか。提案のほとんどは、この共通のテーマに関するもので、このような複雑な事柄の場合よくあることだが、回答より疑問の方が多く生じた。 

  ロシア政府はG20で、世界経済の3つの提案を示した。①雇用と投資を通じた成長、②透明性の増大、③財政・金融システムを規制するための有効な手段。

 G20の出席者からの反応は様々だった。  

 最も楽観的だったのは、各国は足並みをそろえて総合的な対策を実施することを唱えたロシアだ。アントン・シルアノフ財務相は、「今はグローバルな対策を講じ、これまでの国内だけの解決に頼る伝統を放棄する時です」。

 

通貨戦争の危機

 この会議で主要議題の一つになるとみられていたのが、いわゆる「通貨戦争」だ。いくつかの国は、米国と日本は、世界経済危機のなか、自国の輸出を促進するために通貨を切り下げた、といくつかの国が非難している。

 しかし、国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスティーヌ・ラガルドは、いくつかのトップレベルの会合でこうした非難を否定し続けている。

 

「投資家が逃げる」 

 ニコライ・コソフ国際投資銀行社長は、ロシアに関する否定的なニュースを強調せず、公平な報道を提供するよう、世界のマスコミに呼びかけ、「このようなやり方は自信喪失につながり、投資家が離れていく」と述べた。彼は、モスクワは、金融によらず技術的成果のみに基づき、3大新興市場のうちの一つとなっていると指摘した。

 またコソフ氏は、キューバ、ベトナム、北朝鮮、モンゴルのように通常、世界金融システムから除外されている国の生活水準を向上させるために、これらの国を含める必要性を強調した。

 この呼びかけはアルテルモンディアリスム運動の一部であり、グローバルな不平等との闘いにおけるロシアの国益に沿ったものだ。アルテルモンディアリスム運動とは、新自由主義的なグローバリゼーションとは異なる、人権、平和、社会的公正の構築などを探る運動の総称。

 

アレクセイクドリン元財務相の分析 

 アレクセイ・クドリン元財務相は、最近の世界経済を分析した。彼は1990年代に、新生ロシアを脅した経済危機との類似点を挙げ、2000年のロシアの経済の奇跡的な回復に、注意を向けた。  

 クドリン氏は、世界的な危機にもかかわらず、ロシア経済はとても強いと主張した。財政赤字は事実上ゼロであり、うらやまれるほどの大黒字を誇っている。「我々には、この危機のなかで、国家の予備の資金があり、それはかなりの保障となる」。

 

透明性と脱税との闘い 

 この会議の主な目標の一つは、透明性の促進と脱税対策だった。アップルやスターバックスなどの多国籍企業が合法的に税金を払わずに済んでいることを考えると、とくに重要だ。 

 

現実的な見方 

 トルコのイシュ・バンクのエルシン・オジンジェ総裁は、「100%大丈夫な市場などないので、我々は慎重でなければならない」と述べ、全ての市場の本質的な変動性により、グローバルな金融システムからリスクをすべて排除することは不可能だ、と主張した。オジンジェ総裁はまた、いくつかの国は市場システムにGDP(国内総生産)の約30%を投資していると指摘した。

 経済協力開発機構(OECD)のピエールカルロ・パドアン主任エコノミストは、市場の「死」が新しい国際的な現象となったことに留意した。パドアン氏は、「債務には、それぞれ独自の含意があるが、経済システム全体における影響も考慮すべきだ」と、消費社会の持続不可能のリスクに警鐘を鳴らし、締めくくった。