1月22日、シリア在住のロシア人の避難が開始され、その第1陣が、モスクワ・ドモジェドヴォ空港に到着した。=AP撮影
「外交官の家族はかなり前にシリアを退去しているが、ロシアの在シリア在外公館は完全に機能している」とラヴロフ外相は、記者会見で述べた。
これに先立ち、ロシア外務省は、シリア北部に位置する同国第2の都市アレッポで領事館を閉鎖しており、ロシアの外交官の避難開始とみる向きが一部あった。
また、ラヴロフ外相は、ロシアとしては当面シリアからの大々的な避難は必要ないとみている、と付け加えた。
「家族が心配で」
1月22日、ベイルートに、ロシア非常事態省の飛行機2機が、ロシア人避難者第1陣のために送られ、翌23日未明、27人の子供を含む77人がロシアに到着した。彼らはシリア退去を希望した人々だ。
ヤク42とイリューシン76の2機が到着したモスクワ・ドモジェドヴォ空港では、医師、看護婦、心理カウンセラーのほか、出入国管理局の職員が待機していた。
非常事態省の緊急心理療法センターのオリガ・マカーロワ氏によると、「近くシリアに戻りたい」と希望している人はほとんどおらず、ロシアでの就労について心配しているという。
「今回の避難民の多くはシリアに長く住んでいて、ロシア語を話せない子供もいます。お母さんたちは、今後のロシアでの教育のことを心配しているのです」とマカーロワ氏。
「ダマスカスに住んで12年間になります。今回の騒乱まで平和にふつうに生活していたのに…ロシアに帰れる可能性があると聞いて、それを利用することにしました」と、女性の一人はヴズグリャド紙に述べた。いつかシリアに帰る気は、と聞かれると、彼女は「もちろん、かならず戻ります」と答えた。
「私は、夫と息子の身がすごく心配だったので、いっしょにシリアを退去することにしました」と別の女性は同紙に語ったが、これが一番多い避難の理由だ。
ロシア人数万が在住
ロシア通信がダマスカス大使館領事部の話として伝えたところによると、今回避難を希望したのは、リスト上は81人で、そのなかにはシリア人と結婚したロシア女性や、ロシア国籍を取得したその家族などが含まれ、居住地は、ダマスカスをはじめ、アレッポ、ハマ、ホムスなどさまざまだという。
シリアの領事部の集計によると、現在、常時および一時的にシリアに滞在しているロシア人は8008人だが、ロシア外務省のデータによれば、実数はそれよりはるかに多い。
23日、ロシア外務省は、「その必要が生じれば、ロシア外務省は非常事態省と協力しつつ、シリアからのロシア人の避難を支援する」との声明を発表した。
シリアのアサド政権と反政府勢力との武力衝突は、2011年3月以来続いており、国連の統計によれば、この間の犠牲者は6万人を超えている。アサド政権はこれまで再三声明を出し、反政府勢力は、武器をはじめとして外国の支援を受けているとしている
*ロシア通信、テレビ局RBC、ヴズグリャド紙の資料を利用。
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