画像をクリックすると拡大します。=ナタリア・ミハイレンコ
日本とロシアは新たな二国間外交のシーズンを精力的にスタートさせた。両国はほぼ同じタイミングで、首脳の2014年の重要な会合についての方向性を打ち出した。
さまざまな障害にもかかわらず、安倍晋三首相はソチ冬季五輪の開会式出席を固め、ウラジーミル・プーチン大統領との会談を望んでいる。プーチン大統領も今年の訪日を決めた。
ロシアとの距離を縮めることが、安倍首相の外交課題の一つであることは明らかだ。昨年、4度の日露首脳会談が実現した。安倍首相は日本の首相として10年ぶりのロシア公式訪問を果たした。
最も象徴的なのは、安倍首相のソチ冬季五輪の開会式出席だ。開会式2月7日は日本では国会開会中というだけでなく、「北方領土の日」である。東京では毎年「北方領土返還要求全国大会」が開催される。
一時、開会式欠席と2月20日以降の五輪訪問の情報が流れた。だがその後、首相自身が日程を修正し、ロシアとの信頼関係を重視していることを示した。
安倍首相の父の安倍晋太郎元外相がロシアとの関係発展に寄与したものの、このような行動はロシアへの抽象的な共感からきているのではない。極東の困難な状況において、実利的かつ自然な選択を首相は考えている。
日本は現在、中国、韓国、北朝鮮とほぼすべての隣国と敵対関係にある。これらの国は特に日本が20世紀前半のアジア侵略に対して、十分な反省をしていないと非難している。
また、日本は韓国、中国との間でも領土問題を抱えている。この問題は極めて感情的な性質を有しており、中国では、反日デモが行われた。
ロシアとの良好な関係は日本にとって非常に重要である。安倍首相は、地域外交で何らかの成功を収められるのがロシアだけであることを理解している。
さらに経済的要因もある。日本の経済界は、自国の製品の需要成長を見込めるロシア市場に、強い関心を持っている。
ロシアではすでに、日本のほぼすべての大手自動車メーカーの組み立て工場が稼働しているし、13年の両国の貿易額は正式発表はまだだが、過去最大になるのは明らかだ。
特にロシアのエネルギー資源への関心は高い。福島第1原発事故後に日本国内のすべての原発を停止したため、火力発電所を稼働させるために、大量の炭化水素燃料を必要としている。
豊富な石油と天然ガスの埋蔵量を誇るロシアは日本に近く、サハリンやナホトカからタンカーで輸送する際に、海賊に襲われる恐れもない。そのため、日本の経済界は、ロシア東部の大規模なエネルギープロジェクトに関心を抱いている。
多くの要因が日本とロシアの接近を後押ししており、残るは領土問題だけである。領土問題に関する協議は進行中で、両国は解決策を模索することについて話をしている。
森喜朗元首相はあくまでも個人的な意見としながら、領土の分割案や共同保有案などについて発言した。
平和条約締結に関する協議は、両国の希望により、閉ざされた扉の内側で行われている。それでも、速やかな解決とはならないだろう。
ロシアは協議において明確な方針を示している。それは領土および平和条約の問題のいかなる解決も、第二次世界大戦の総括に疑義を示すものではないということだ。
ワシリー・ゴロブニン、タス通信東京支局
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