G8首脳がシリア問題で合意

 =セルゲイ・ヨルキン

 =セルゲイ・ヨルキン

政治決着はシリア内戦を解決できる唯一の道である。6月17~18日に北アイルランドで行われた主要8ヶ国首脳会議(G8)では、このような内容を盛り込んだ「首脳宣言」が採択された。シリア関連の項目が実現されると、多極世界の存在を西側諸国が初めて認めるということにもなり得る。

 今回のG8の中心議題は、間違いなくシリア問題だった。各国首脳が会場であるアーン湖ゴルフリゾートに集まる前に、アメリカは”序章”として、シリア政府軍が化学兵器を使用した証拠を持っていると発表し、いきなり議論に火をつけた。ただこの化学兵器が使われたのは昨年の話で、規模も小さかったのだが。化学兵器の使用は”赤線”、すなわち平和的解決から軍事的解決に移行する限界ラインを越えたととらえられた。そのためアメリカは、時期こそ具体的に示さなかったものの、シリアの反体制派に対する軍事支援を始める意向を明らかにした。

 国際的孤立をちらつかせてロシアに圧力をかけるという試みは、首脳宣言が採択される瞬間まで続いた。メディアはシリア問題についての宣言が、ロシアの署名なしに採択されるという情報まで伝えていた。だがロシアは立場を変えることはなかった。シリア政府軍の化学兵器使用は根拠薄弱であり、反体制派への軍事支援は、ロシアとアメリカが5月に提案したシリアを巡る国際会議の実施を妨害するものだと主張した。

 この首脳会議では、プーチン大統領が孤軍奮闘するものと思われた。だが予想外の展開となった。プーチン大統領は会議終了後に行われた記者会見で、シリア問題について”1対7”の議論が行われたという感じはしなかったと強調した。「まとまった協議だった。賛成意見や反対意見はあったものの、ロシアだけがシリア問題について独自の解決策を力説するというものではなかった」。

 首脳宣言を読む限り、実際にそうだったのだろう。まず、シリアの情勢が不安定化してからというもの、反体制派、「シリアの友人」、また国連安保理決議案(ロシアと中国が拒否権を発動した案)の作成国などが、アサド大統領の退陣を求めていたにもかかわらず、同大統領の進退について、宣言には何も書かれていなかった。次に、シリア内戦の全当事者が人権を侵害していると非難されていた。また、化学兵器使用に対してシリア政府を非難する内容は、結局消えていた。デービット・キャメロン首相はこう述べた。「全首脳は内戦のいかなる側による化学兵器の使用も認めず、国連が事実確認できるようにすることが必要だという考えを明らかにした」。国連が今後取り組んでいくのだ。

 さらにシリアを巡る国際会議のアイデアが承認されたことは、もっとも重要なポイントだ。「シリア内戦の全当事者による相互合意にもとづき、全執行権を有するシリア移行政府の設立から始めることを定めた、2012年6月30日付けのジュネーブ合意を完全に実施するため、シリアを巡る国際会議をジュネーブで早期開催することを無条件に支持する」と宣言に書かれている。

 このような流れの中で、シリアの反体制派に正式な軍事支援を行うことは適当でない。

 シリア内戦の政治決着を目指すというG8の決定に、アメリカは満足している。西側のメディアが18日、アメリカ政府高官のこのような言葉を伝えた。当然ながら、ロシア政府も満足している。シリアに関するG8の首脳宣言は、平和的解決を目指す外交協議継続のためのしっかりとした基盤となると、ゲンナジー・ガチロフ外務次官はタス通信のインタビューで話している。

 また、ロシア国立研究大学「高等経済学院」欧州・国際共同研究センターのドミトリー・ススロフ副所長は、世界で新たな政治状況が生まれていると考える。「アサド大統領の勝利、またはアサド大統領が参加する会議の実施を認めるということは、西側にとって、冷戦後まれに見るその政治的敗北を意味する。アサド大統領の留任を仮定することでさえ、西側の無力さを意味してしまう」。

 ススロフ副所長はこう続ける。「シリアは新たな”多極性”の姿を示すか、またはリビアのような結末を示すかのどちらかだろう。前者ならばシリアを巡る一連の活動と同様、ロシアが西側と対等に渡り歩いていくことになる。後者ならば”一極性”の惰性が働いたということにすぎない」。