サイバー空間が新たな対決の場に

=ニヤズ・カリム

=ニヤズ・カリム

信頼醸成措置をすぐにでもとらなければ、サイバー空間がロシアとアメリカの対決の場に変わるかもしれない。

 将来の国際情報空間については最近、国連、G8、G20から、欧州安全保障協力機構、BRICS、ミュンヘン安全保障会議まで、影響力のあるさまざまな場所で議論されている。サイバー空間の問題に対する関心が高まっている理由は異なるかもしれない。だが、この分野でもっとも発展している国々が実は脆弱であるという、共通点がある。

 

4の戦場 

 アメリカは2010年、陸、海、空と同様、サイバー空間が潜在的な戦闘の場になると、初めて公式に認めた。2011年にはサイバー空間の国家戦略を初めて作成し、核兵器を含むあらゆる武器でサイバーアタックに対抗するという、アメリカ政府の権利を留保した。また、サイバー攻撃に対処できる米軍サイバー司令部(US Cyber Command)をいち早く組織し、2011年末には攻撃的サイバー技術の発展を容認し、予算を与えた。昨秋には、コンピューター・ネットワークや敵の指令センターを攻撃あるいは破壊できるソフトウェアを、アメリカ空軍がまとめて購入する計画であることも明らかとなった。

 ロシア政府はこのようなアメリカ政府の活発な動きを、世界を巻き込んだサイバー軍備競争の一因と考え、警戒している。サイバー空間におけるロシアの防衛・攻撃能力の可能性は、今のところアメリカに先を越されている状態だが、最近はロシアも開発に本腰を入れている。

 

ロシアも米国に対抗 

 ロシア政府は昨年3月、アメリカと同様のサイバー司令部の創設計画を公式に発表した。ウラジーミル・プーチン大統領はその2ヶ月前、ロシア連邦保安庁(FSB)に情報空間犯罪防止の全権を新たに委ね、国家サイバー攻撃予測・回避システムを開発するよう指令を出した。

 国際情報空間の安全保障は、ロシア連邦安全保障会議と外務省が注視している。外務省には2012年3月、情報通信技術政治利用特別調整役という無任所大使の新たな役職が生まれた。その主な課題は、国連への国際インターネット法採決の働きかけだ。ロシアはまた、サイバー空間の不干渉原則を確立しようと努めているが、アメリカやNATO加盟国はこれが足を引っ張る可能性があるとして否定した。

 

冷戦VOL.2 

 この件に関する議論では、意見が真っ二つに割れた。一方はアメリカとNATO加盟国、他方はロシア、中国、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、イランなどだ。一部専門家は、これを東西のバーチャル紛争「冷戦VOL.2」などと位置づけた。

 アメリカとロシアが、従来型の衝突と同様、サイバー有事の際の行動権を留保していることを考えれば、深刻な事態を招く可能性があることがわかる。それを回避するために、双方は情報交換、大規模なサイバー攻撃に備えた特別なホットラインの構築など、信頼醸成措置をとろうとしている。

 ロシアとアメリカの関係が悪化しつつある中、衝突の可能性があるとすれば、国際情報空間だろう。近い将来、信頼醸成措置について合意にいたらなければ、共用環境やロシアとアメリカの実務協力の潜在的プラットフォームのサイバー空間が、完全な衝突の場に変わってしまうかもしれない。

 

エレーナ・チェルネンコ歴史学博士、コメルサント紙国際部編集委員

元原稿