英国風のロシアの地所: 貴族の邸宅から孤児院まで

 メインホールには2つの煙突が配置され、それを囲んで来客が集まった。

 メインホールには2つの煙突が配置され、それを囲んで来客が集まった。

ヴァディム・ラズモフ
 モスクワ近郊のビコヴォ地所に見とれる写真の旅。
 かつてのビコヴォ地所はモスクワから20キロ離れた所にある。
 現在ここには療養所があるが、庭園は訪問者に開放されている。
 内装も、英国から着想を得たものだ。メインホールにはらせん状階段が設置され、壁と天井にはバロック様式の装飾が施された。
 第二次世界大戦後、この主な建物は孤児院として使われた。高価な敷物、豪華な調度品や美しい絵画が少しずつなくなっていった。それと共に薔薇が植えられた庭園の小道やオレンジ温室栽培園も消えていった。
 後に、主な建物は結核患者のための療養所になった。すると間もなく、幅広い地所の東側の部分に家屋、ガレージや療養所の追加ブロックが増築された。
 現在、主な建物は放棄された状態で、療養所は地所内の別の建物に収容されている。建物を復元するための資金は、もう何年も棚上げ状態になっている。
 元の邸宅は保存状態が悪い。
 主な建物は、英国風の城の様式で建てられた。壁の装飾は木製で、見事な天井が特に見どころだ。
 ウラジーミルの生神女教会が同じ地所の敷地内に建立された。疑似ゴシックそして新ゴシック様式で建立された教会としては稀な例である。階段は、教会ではなく宮殿につながっているかのように見える。
 この土地に村が出現したのは14世紀のことだった。この土地はピョートル大帝によりヴォロンツォフ家に下賜された。後に宮殿クーデターの結果新たな皇后となったエカチェリーナ2世は、この土地をクーデターの共謀者であったイズマイロフ伯爵に与えた。
 ロシアの地方には、欧州文化を代表する小さな島々のように、古い地所が国中に散在している。旅行者が珍しい建築上の至宝を見つけられることがよくある。