バフテュコフ一家は1990年代にトヴェリ州の田舎にあるウドメルスキー村に移り住んだ。アレクセイさんは医師で、イリーナさんはゴロディシェという村落の特別支援学校で音楽教師を務めている。二人ともサンクトペテルブルク出身だが、ここ20年、この辺鄙な村に住み、よく働き、やりたいことをやり、人生を楽しみ、幸せな生活を送っている。
Yulia Smorodova優れた医師であるアンドレイ・バフテュコフさんはゴロディシェの病院に勤めている。余暇にはチェーホフの様に物語を書いている。夫妻は楽器を弾き、歌を歌う。
Yulia Smorodova一年前、ゴロディシェの病院には外来病棟があり、馬と馬丁を含む30人のスタッフがいた。今では馬はジプシーに売られ、病院のスタッフは7名しかいない。病院は各地を廻る移動病院となった。
Yulia Smorodovaアンドレイ・バフテュコフさんは多くの時間を移動に費やす。彼の病院が担当する47の村は幅30キロという広範囲にある。
Yulia Smorodova他の村人に比べ、バフテュコフ夫妻の話し方は雄弁である。夫妻はお互いに飽きることがなく、会話は絶える事がない。多くの人々がテレビばかり見ていたり、単調な言葉で会話したりしている中、夫妻の表現豊かで能弁な会話を聞くのは新鮮だ。
Yulia Smorodovaゴロディシェ唯一のピアノは学校にある。しかし家にはギターがあるため、アンドレイ・バフテュホフさんは弾き語りを好む。彼のお気に入りのシンガー・ソングライターはヴィソツキー、ヴィズボルなどソ連のバンドである。チェーホフやツルゲーネフの登場人物に似ている人生観を持つバフテュコフ夫妻だが、ソ連時代の古い歌がよく似合う。
Yulia Smorodova「カレッジで言われたのです、私には才能がある。特別な子供達の教育に関わる様になると」。イリーナさんはこう語る。「そして最初はその通りでした、サンクトペテルブルク一の音楽学校で、才能ある子供達を教えました」
Yulia Smorodova生まれも育ちも都会人の二人が1990年代半ばにウドメルスキー村に引っ越した時、彼らは息を飲む程美しい景色と見事な大自然に驚愕した。彼らは残りの人生を田舎で過ごす事に決め、イリーナさんは支援学級の音楽教師として再教育を受けた。
Yulia Smorodova後に夫妻は、(サンクトペテルブルクで大学を受験しようとしていた)息子の為に6年間サンクトペテルブルクへ戻ったが、イリーナさんは一流の音楽学校ではなく、特別支援学校での仕事を見つけた。これは彼女自身の強い希望であった。
Yulia Smorodova「音楽をデコレーションケーキみたいなファインアートの一種としてとらえる子供達に教える事には興味がなくなりました。音楽を通じて世界を理解しようとする子供達に教える事が生き甲斐です」。こうイリーナさんは語る。
Yulia Smorodovaサンクトペテルブルクに戻ってからも、夏はムスタ川のほとりで過ごした。村の人々は笑顔で彼らを迎え入れ、村のおばあさん達には「戻って来るわよね?戻って来るって約束してよ!」と懇願された。2009年3月、バフテュコフ一家はゴロディシェに再び移り住んだ。
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