ユーリー・ノルシュテインは、世界中で知られる『話の話』、『霧につつまれたハリネズミ』などを制作した伝説的アニメーターで、昨年9月15日に75歳の誕生日を迎えている。しかしロシアでは、お祝いは一年間を通して行われるので、お祝いされるご本人に会うのはそんなに簡単ではなかった。
このアニメーション作家は今日も、モスクワ北部の小さな自分のスタジオで活発に働いている。既に1981年から始めている、19世紀ロシアの作家ニコライ・ゴーゴリの中編小説『外套』に基づくアニメの制作を続けているのだ。ノルシュテインが言うには、自分は現代という時代には生きていないし、またそれに迎合するつもりもないが、ただ好きなことをやっており、それを捨てるつもりはないとのこと。
休日ごとに、スタジオの入り口の間は、訪問客でごった返している。彼の本を買ってサインしてもらいに来る人もいれば、単にレジェンドを見に来る人もいる。アトリエは無数の小物、ガラクタでいっぱいだ。はさみ、メモ、子供の絵、フック、安全ピン、針金、箱、ケース、そして何百冊もの本。「映画の神はディテールに宿る」とノルシュテインは考えている。