オリンピック2022のもっとも有望な出場選手の1人ユリヤ・カナキナ(写真特集)

@yulia.kanakina
 ユリヤは子どもの頃、バレリーナになるのを夢見ていたが、スケルトン選手になることに決めた。そして今、メダルにもっとも近い選手と言われている。

 「初めてスケルトンで滑り降りたときには大声で叫びました。本当に怖くて、2度とスケルトンなんてやらない!と思ったんです」。26歳のユリヤ・カナキナ選手は最初のトレーニングをこのように回想する。そんなカナキナは現在、ジュニアスケルトン世界選手権で優勝し、2021年の世界選手権で銀メダルを獲得、そしてGANT、リーボック、WWFロシアのアンバサダーをしている。

 ユリヤは1995年、クラスノヤルスク生まれ。自らのインスタグラムには、自分はそれほど裕福でない家庭に生まれたと綴っている。 

 「食料品店に行っても、母がわたしに『今日は必要なものしか買いません』と言うことがあって、わたしはちゃんと事情をわかっていたので何もねだったりしませんでした。とはいえ、わたしは子どもたちが憧れるものはなんでも持っていました。母はわたしが気分を害さないように、そしてわたしが何も買ってもらえないと傷つかないように、できる限りのことをしてくれていたのです。それは母の功績だと思います」。

 子どもの頃からカナキナはバレエを習っていたが、しょっちゅう足を挫いていたので、両親は子どもの健康を心配していた。彼女が14歳のとき、学校にユースオリンピックのメンバーを選抜するためにスケルトンのコーチがやってきた。コーチが教師に誰が一番走るのが早いかと尋ねると、教師はユリヤだと答えた。実際、彼女はとても足が早かった。

 当初、ユリヤはバレエとスケルトンを両方続けていたが、最終的にはスケルトンに絞ることにした。しかし、バレエをしていたことがスケルトンを習得する妨げになったという。

 スポーツ24のインタビューの中でユリヤは、「皆は普通に走っていたのですが、わたしはまず靴下をきちんと伸ばして・・・という具合で、すぐに競技に切り替えることができなかったのです。技術的にもどこか正しくなく、ちょっと変で、何か美しくなかったんです。そのときはフィジカルの面でまだ完全には出来上がっていなかったんです」と語っている

 しかし、時間が経つにつれ、スケルトンの技術を身につけるようになった。16歳のとき、初めてのシーズンを迎え、カナキナはユースオリンピックの予選で11人中10位、また2011年のヨーロッパ杯で15位に入った。そして2017年にはジュニア世界選手権を制したのである。

 2018年、カナキナはジュニア世界選手権に出場、ドイツのアナ・フェルンシュテット選手に0.81秒の差で銀メダルを手にした。2019年、カナキナはワールド杯で3位入賞、2021年には2位に入った。カナキナ曰く、大会でミスをするのは、自身の頭の中に問題があるときだけなのだそうだ。

 「トレーニングではすべてが完璧なのに、大会になるとなぜかどこかがいつものようにいかないんです。たとえば、スタートですが、トレーニングではまっすぐ滑ることができるのに、大会になると揺れてしまう。そしてそんな滑りになるのは、自分自身の問題で、誰も悪くないということを理解しています。(中略)ときどき、トレーニングで、信じられないくらいのスピードが出て、よし、これは世界記録だ!と思うことがあります。しかしゴールすると記録は遅くて、それがなぜなのか自分でも分からないのです」とユリヤは話す

 しかし後になって、一番大事なのは、大会で「自分の波をつかむことだ」いうことを認識したのだそうだ。

 「滑り降りるスピードはすごいのですが、トラックの上では、まるでスローモーションで撮影しているかのようなのです。そして一つ一つのカーブを完全に感じることができます。単にカーブに入って出て・・・だけではなく、その一つ一つで考え、実感することができるのです」とカナキナは話す

 2022年2月11日と12日、ユリヤはオリンピック2022に登場する。最初のトレーニングでは8位、2回目は10位となっているが、落胆することもなく、粛々とメダルを狙う。

 「すべてはトラックの真ん中でのミスのせいです。しかし次は失敗なくやれると思います」とカナキナは期待を込めて言う

 自由な時間があると、ユリヤは絵を描いたり、映画に行ったり、英語の勉強をしたり、旅行に行ったりするのだという。好きな本はジェイン・オースティンの「高慢と偏見」、そしてニコラス・スパークスの「君を想う夜空に」、そしてダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」だとのこと。

 選手を引退した後は、慈善活動に専念し、家のない動物のためのシェルターを作る計画なのだそうだ。

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