3月大統領選のプーチン対抗馬は女性

Reuters
 クセニヤ・ソプチャク氏は、「ロシアのパリス・ヒルトン」としてキャリアを確立し、「ロシアのヒラリー・クリントン」になろうとしている。ロシア連邦大統領選への立候補を予定しているこの人物の興味深い事実を、特集する。

 ソプチャク氏は2004年、リアリティー番組「ドーム2(家2)」の進行役になり、一躍有名人になった。

 若者が家を建て、恋愛関係になる様子を追う番組で、13年経過した今もなお、続いている。趣味の悪い、ロシアのテレビ番組で最も下品な番組、というイメージがある。だがソプチャク氏はロシア社会で影響力のあるまじめな人物になった。

 ウラジーミル・プーチン大統領は大統領選への出馬表明をしていないが、多くの国民が出馬すると予想している。ここ数ヶ月、ソプチャク氏が来年3月に行われる大統領選で、プーチン氏に挑戦状を突きつけるという噂が流れていたが、「ヴェドモスチ」紙は18日、ソプチャク氏から出馬を決定した旨の電子メールを受け取ったとして、その内容を掲載した。

プーチン氏の恩師の娘

 プーチン氏は、レニングラード市(現サンクトペテルブルク市)のアナトリー・ソプチャク市長に仕える副市長として、政治のキャリアをスタートさせた。アナトリー・ソプチャク氏は市長を1991年6月~1996年6月まで務め、2000年に死去している。正直で堅実な人であり、民主主義の真の信奉者だと言われていた。アナトリー・ソプチャク氏の右腕であったプーチン氏は、クセニヤ・ソプチャク氏のゴッドファーザー(教父)であるという噂もある。

ウラジーミル・プーチン氏、クセニヤ・ソプチャク氏とリュドミーラ・ナルソワ氏(クセニヤ・ソプチャク氏の母)。

スキャンダラスなテレビ司会者

 クセニヤ・ソプチャク氏は2004年に初めてテレビに登場。当時は「ジュネス・ドレ(金持ちでおしゃれな洗練された若者たち)」の一人、「ロシアのパリス・ヒルトン」として活躍していた。自身のテレビ番組「チョコレート色のブロンド」では、華やかな服を着て街を練り歩き、豪華なナイトクラブで高級な飲み物を飲んでいた。「チョコレート色のブロンド」とは、アメリカの映画「プリティ・ライフ パリス・ヒルトンの学園天国」のロシア語の題名でもある。また、この映画でヒルトン演じるヴィクトリアの吹き替えもしている。ソプチャク氏はセレブで、富豪や有名人のパーティーにひんぱんに招かれ、音楽賞や企業イベントの司会も務めていた。大金を稼ぎ、それ以上に敵をつくっていたことから、スキャンダルのイメージも強い。

まじめな生活を送るように

 ソプチャク氏の転換点となったのは2012年。メガネをかけて180度イメージを変え、まじめなジャーナリズムのプロジェクトを始めた。2012年から今年6月まで放送された「ドシチ(雨)」テレビ局の番組「ソプチャク・ライブ」では、主要な政治家、経済人、ジャーナリストを招き、インタビューを行った。

 2012年から2014年までファッション誌「SNC」の編集長を務め、次にファッション誌「ロフィシャル」の編集長に就任した。

 最大の驚きとなったまじめな活動は、反政権派の政治家としての活動である。2012年にモスクワで行われた公正な選挙を求めるデモには、ソプチャク氏と友だち(ジャーナリスト、俳優、作家など)も参加し、これによって国営テレビで仕事をする機会を失った。

反政権派の指導者

 反政権派の集会で、ソプチャク氏は未来の夫で俳優のマクシム・ヴィトルガン氏と出会い、2016年に長男プラトンを出産した。

 ソプチャク氏は長きにわたり、プーチン大統領に近い人物と考えられていたため、野党への転身は茶番劇だと多くの人に考えられていた。だが交流サイト(SNS)でのコメントやクレムリンに対する見解は、どんどん厳しくなっていった。野党活動家でブロガーのアレクセイ・ナヴァリヌイ氏が大統領選への出馬の意向を表明した時は、これを支持した。

 6月に行われた2人の対談では、少しぶつかった。ソプチャク氏は、ナヴァリヌイ氏の国を良くするという政治計画が不明瞭だと指摘。汚職と戦い、政治家や官僚の実情を暴き、その別荘やプライベートジェットに関する報告を行っているが、これをどう変えていくつもりなのかが見えてこないと言った。

大統領選への出馬

 ヴェドモスチ紙に掲載された、ソプチャク氏のメールの内容はこうだ。「私はクセニヤ・ソプチャク、35歳。ロシアに暮らし、ロシアで働いた。そして自分の国で起こっていることを気にかけている。すべての公的活動を、責任をもって行っており、この挑戦のすべてのリスクと大きな困難を認識している。大統領選挙への出馬が、この国にとても重要な変化への一歩となり得ると判断した」

 ソプチャク氏は、1990年代の投票紙の一番下にあった「上記に適切候補者なし」の部分を代表したいと書いている。「候補者としてだけでなく、候補者になれない人の代弁者として選挙に出る。既存の体制に対する苦情を声にする用意ができている」。ロシア語の全文はここで読むことができる。

 マスメディアは先に、ソプチャク氏の出馬を許可することをクレムリンが決定したと報じていた。

 この賢くて知的な女性の活躍を見守ろう。

 詳細は、ソプチャク氏のウェブサイト参照のこと。