レーニンはどんな声だったか?

Gamma-Keystone/Getty Images

「声は大きかったが、叫ぶような感じではなく、胸声のバリトンだった」。

 ソ連の建国者、ウラジーミル・レーニンの声について、妻ナデジダ・クルプスカヤはこう書いている。

 しかし、残された録音から判断すると、彼女には賛成しにくい。レーニンの話しぶりが滑稽に聞こえた人さえいる。ちょっとフランス語風に鼻にかかった声で、甲高く話すのが聞こえる。

 もっとも、これは音の歪みのせいかもしれない。レーニンの時代には、録音の質が悪く、この指導者の演説は、欠陥の多い録音機で録音されていた。旧式の機器と劣悪な室内音響に、話者の早口が加わって、音声が非常に変化した。つまり、録音は、現実からかけ離れていた可能性がある。

 同時代の人々の回想によると、レーニンの声は快かったという。しかも、彼の話の魅力は、その論理と感情の豊かさによるところが大きかった。ソ連の散文作家フェオクチスト・ベレゾフスキーはそれについて次のように振り返っている。

 「私はウラジーミル・イリイチの演説のもう一つの特徴に気づいた。これは、同志レーニンの前にも後にも、私が知っているどの演説者にも気づかなかったものだ。つまり、彼は、演説に感情を注ぎ込み、それを声の抑揚でさらに強調しており、その結果、感情は、非常な激しさと自発性を示していたのだが、こうしたエモーショナルな面にもかかわらず、彼の演説は、微細な細部にいたるまで研ぎ澄まされていたのだ。こうした彼の声は、演説の内容そのものに聴衆を引きつけ、釘付けにした。レーニンの声は、労働者の解放という大義を破壊・妨害した者たちへの警告と憎悪の念で響きわたった。そして、灰色の詰襟や黒いジャケットを着た人々の目には、憎しみの炎が燃え上がった」

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