サンクト国際経済フォーラム開幕

タス通信
 第20回「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)」(6月16~18日)が開幕した。専門家は、対ロシア経済制裁の緩和、「ガスプロム」社と「シェル」社の液化天然ガス(LNG)工場についての意見交換が行われると考える。

 今後の世界経済について話し合おうと、一流経済学者がサンクトペテルブルクに集結した。フォーラムには、ウラジーミル・プーチン大統領、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長、ジャンクロード・ユンケル欧州委員長なども出席する。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官が先に伝えていた通り、プーチン大統領はフォーラムで、バルト海経由のロシアからヨーロッパへのガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」プロジェクトについて話す。他の議題としては、ウクライナ情勢を受けて2014年に欧州連合(EU)が発動したロシアに対する制裁、またその対抗措置がある。

 

政治的な予期

 専門家によると、フォーラムで制裁の相互緩和が発表されなくとも、プーチン大統領とユンケル欧州委員長の直接対話によって、ロシアとEUの関係が大きく改善される可能性があるという。というのも、ウクライナ危機が2014年に始まって以来、ヨーロッパからこのレベルの政治家はフォーラムに出席していなかったためだ。「大きな進展は期待しないが、非公式協議は状況の一定の改善に寄与するのでは」と、ロシアの大手証券会社「フィナム」の金融アナリスト、ティムール・ニグマトゥッリン氏は話す。

 年内の制裁緩和を期待すべきでないと話すのは、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏。それでも、高官がフォーラムに出席することは、西側の指導者の意見が必ずしも一致しているわけではなく、一部にロシアとの対話の用意があることを意味するのだという。例えば、イタリア代表団の団長はマッテオ・レンツィ首相である。

 

経済的なプロジェクト

 フォーラムでは従来から、国際的な企業との契約を含む、大型契約が多数結ばれている。ヴァシチェンコ氏によると、今回のフォーラムではロシアの国営ガス大手「ガスプロム」や国営石油大手「ロスネフチ」の関連する、エネルギー分野の契約が結ばれる可能性がある。総契約額は40億ドル(約4160億円)を超える可能性もあるという。ガスプロムとイギリス・オランダ系石油大手「ロイヤル・ダッチ・シェル」が、ロシア北西部にLNGの生産と輸送のターミナルを建設することを決定すれば、大型プロジェクトの一つになるのは間違いない。ニグマトゥッリン氏によると、この契約への署名がフォーラムの中心的なイベントになる可能性がある。「第一段階での工場の2ラインの合計LNG生産能力は年間1000万トンに達し、拡充も可能になるということが、現時点でわかっている」とニグマトゥッリン氏。工場の稼働は2021年末と考えられている。

 今年のフォーラムの公式ゲスト国はイタリアであるため、銀行「インテーザ・サンパオロ」、タイヤメーカー「ピレリタイヤ・ロシア」、エネルギー会社「エネル」、金属加工機器のサプライヤー「ダニエリ」など、大手企業22社が参加する。

 ベネズエラ代表団の団長はエウロヒオ・デルピノ石油相。ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相、ロスネフチのイーゴリ・セチン社長との会談が予定されている。

 自動車集積で知られるカルーガ州(モスクワから約200キロ)は、「ロシア鉄道」、「サムスン」の代表らと「新シルクロード」プロジェクトについて協議する。モスクワ州は工業、農業、インフラの分野で、具体的な契約が結ばれれば、と期待している。

 フィナム社のデータによれば、フォーラムで結ばれる契約件数は年々増加しているものの、契約額は減少している。2013年のフォーラムでは102件、1460億ドル(約15兆1840億円)の契約が結ばれたが、2014年は175件、61億ドル(約6344億円)、2015年は205件、45億ドル(約4680億円)となっている。

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