ウクライナに裁判所で$30億請求

ロシアのアントン・シルアノフ財務相=

ロシアのアントン・シルアノフ財務相=

コメルサント紙
 ウクライナを対ロシア債務の再編をめざす建設的な対話に招こうとしたものの、試みはうまくいかなかった。その結果、提訴へとふみきった。ロシア財務省がこのように説明している。

 ロシア連邦財務省は、30億ドル(約3450億円)の債務の返済を求め、ウクライナをロンドンのイギリス高等法院に提訴した。「インテルファクス」通信がアントン・シルアノフ財務相の発表として、これを伝えている。

 シルアノフ財務相によると、債務返済に関する建設的な対話にウクライナを呼ぶことができなかったため、提訴に踏み切ったという。

 ロシア側の代理として高等法院に出廷するのは、「クリアリー・ゴットリーブ・スティーン&ハミルトンLLP」。何年にもわたり、ロシアに助言を行っている法律事務所である。

 ロシアは2013年末、ウクライナ経済を支援することを決定し、当時のウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領と、150億ドル(約1兆7250億円)を融資(ウクライナ国債を購入)することについて合意した。ロシアは最初の30億ドル(約3450億円)をヤヌコビッチ大統領に融通したものの、その後ウクライナでクーデターが起こり、大統領は退陣し、政権は交代した。

 

提訴の理由

 「遺憾ながら、ウクライナには『善意』の交渉を行う用意がないことが判明した。ロシアだけでなく、国際通貨基金(IMF)も呼んでいたのだが」とシルアノフ財務相。高等法院の審理はオープンかつ透明になり、債権者としてのロシアの権利は、独立した、権威ある裁判によって保護されるという。このような紛争の審理は歴史的判例になると、シルアノフ財務相。

 ウクライナは営利債権者と共通の条件での債務再編をロシアに提案したが、ロシアは債務の主権的性質を主張しながら、この案の協議を拒んだ。その結果、ウクライナは昨年12月、ロシアによって2013年12月に購入されたユーロ債の債務不履行に陥った。

 

裁判の行方は

 専門家は、裁判の審理が長引くものの、ロシア側が勝訴すると予想する。ロシアの大手証券会社「フィナム」の金融アナリストで、国際金融取引を専門とするティムール・ニグマトゥッリン氏は、裁判について楽観的な行方を予想する。

 「アイルランド上場ユーロ債は英国法の下でウクライナによって発行されており、その発行目論見書には、デフォルトが正当化されるようないかなる状況も想定されていないと明記してある」とニグマトゥッリン氏。ただ、裁判の政治的背景から、審理の期間は数年におよぶ可能性もあると、ニグマトゥッリン氏はつけ加えた。

 

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