ロシアとウクライナは決別するのか

EPA
 2015年10月、ウクライナとロシアの経済的相互関係はにわかに悪化した。主な争点となったのは、ウクライナの対ロシア債務30億ドルの返済をめぐるロシア側の要求である。これを背景に、これまでウクライナの貿易高全体の3分の1を対露貿易が占めていたのにもかかわらず、両国間の航空運輸が停止された。

3分の1が対露貿易

 ウクライナ当局は10月半ば、民間の債権者らと債務再編に合意した。同国のヤツェニュク首相によれば、民間の債権者らは債務の一部30億ドルを帳消しにしたうえで85億ドルの債務返済を繰り延べることを決めた。ウクライナ当局は債務の20%帳消し、融資の返済繰り延べ、5%から7.75%への利率設定をロシアに提案している。

 しかし、ロシア当局はウクライナの債務再編を拒否した。

 ペスコフ露大統領報道官によれば、債務が返済されない場合、ウクライナの債務不履行を意味し、ロシアはロンドンの仲裁裁判所を通して債務返済を求める。

 

IMF融資の難点

 格付け機関スタンダード&プアーズの見方では、ウクライナ当局にはロシア政府へ債務を返済する方法が二つある。

 第一に、ウクライナは約120億ドルの金・外貨準備の一部を用いて債務を返済することも可能だが、事実上、そうした措置に踏み切れない。

 第二に、ウクライナは債務不履行を宣言でき、その場合には国際通貨基金(IMF)はウクライナに必要な資金を供与できる。しかし、IMFの融資がウクライナの対露債務の返済に充てられることになり、西側はこの案をあまり歓迎していない。

 ウクライナは「債務は前政権が負ったものだ」と主張して異議を唱えようとしている。13年末、ロシアはウクライナ経済支援を決め、150億ドルの融資に関してヤヌコビッチ大統領(当時)と合意した。

 融資条件の一つは、ウクライナの負債総額が国内総生産(GDP)の60%を超える場合には期限前に返済する義務だった。

 ロシア政府は30億ドルの第1回分のみを送金し、その後、ウクライナでは大統領失脚と政権交代をもたらす政治危機が始まった。

 ウクライナはどうやら、債務の公的性格に異議を唱えることがかなり難しいことを理解しているようだ。

 アメリカン・エンタープライズ研究所のアダム・レッリク氏は、優遇的な利率(市場の利率12%に対し5%)を保証し、公的債務を民間債務へ切り替えてロシアに融資条件を見直してもらうことによって問題が解決できる、と考えている。

 しかし、ロシアはおそらくそれを受け入れまい。

 

相互に航空路閉鎖

 15年10月25日から、ロシア・ウクライナ間の直行航空便の運航が完全に停止された。航空産業分野の分析機関「アビアポルト」のオレグ・パンテレエフ代表はこう語る。

 「ウクライナの各地へのロシアの航空会社によるフライトの禁止に関する決定は、これらの航空会社によるクリミアへのフライトに対するウクライナ当局の不満に起因している」

 結局、クリミアに運航していないUTエアーを含め、すべてのロシアの航空会社に対して制裁が有効となった。これに対抗して、ロシア当局はウクライナ航空機に対してロシアの領空を閉鎖した。