ホンダが注文なしの輸出の停止へ

Elena Palm/タス通信撮影
露市場に事実上のサヨナラ?

 9月3日、日本の自動車メーカー「ホンダ」のロシア現地法人「ホンダ・モーター・ルス」がロシアのディーラーに、自動車、オートバイ、耕うん機、除雪機、発電機などの輸出を停止し、部品調達とサービスに専念するとの通知を送った。ディーラーは、これを同社の露市場からの事実上の撤退を意味すると受け止めている。

 しかし、ホンダ・モーター・ルスのミハイル・プロトニコフ販売主任は、ホンダはロシアから引き上げるわけではなく、事前注文による販売への移行について、ディーラーと話し合っていると説明する。同氏によれば、ホンダは、現在の露経済の価格変動の大きさを考慮して、ディーラー自身に必要な台数を決めさせたいという。これはつまり、前払いということで、決済は、現地法人ではなく東京で行われるとのこと。

 また同氏によると、ホンダ・モーター・ルスは、輸送、通関、サービス、ブランドイメージの維持に関わる支援は継続する。こうした新形態への移行は、来年の予定で、おそらく第二四半期からになり、今その件でディーラーと協議している。

 

売り上げ8割減撤退?

 「だが、車の調達とブランディングに携わる、ロシアの販売代理店がないということは、市場から撤退したと言える」。ある大手自動車販売のトップマネージャーは、ロシアの経済紙「ヴォドモスチ」にこう述べた。「新たな調達形態に移行し、ディーラーは直接日本で車を買えるというが、これは日本風の礼儀正しい“サヨナラ”でしかないだろう。これとまったく同じ形で、しばらく前に露市場から去ったオペル、セアトの車を欧州から買うことに、何の問題もない。が、販売代理店なしでそういうことをやるのは不利だ。競争力ある価格設定、広告、物流面でのバックアップがないのだから」

 ホンダが輸出市場の開拓で重点を置いているのは、北米、ついで中国だ。西ヨーロッパとロシアは二の次。ホンダ・モーター・ルスは、例えば、CR-Vならイギリス、アメリカから、アキュラ・MDXならアメリカから輸入しているが、ルーブルの下落は、これらの車の価格をいよいよ魅力ないものにしている。

 その結果、欧州ビジネス協会のデータによると、今年1~7月、ホンダの売り上げは78%減、台数にして2742台まで落ち込んだ。露市場全体についても、同時期35,3%減、141万1000台まで 低下。

 

今後の展開は?

 ホンダのサイトによれば、 ホンダ・モーター・ルスには32のディーラーがあり、うち6つはモスクワに所在している。そのうちの一つ「フライト・アフト」は、新形態でもホンダとの提携を続けるだろうと、同社のガリーナ・ナハトヴィチ広告・マーケティング部長は言う。「ホンダはロシアの顧客の維持に努めるので、我々としても、輸入業者の機能をもつディーラーとして協力するかもしれない。販売形態の変化は事態を改善するかも」

 「アオヤマ・モータース」のセルゲイ・ジューコフ販売部長も、「これで、我々が一番売れ筋の車を決められることになる」と言う。

 とはいえ、こういう状況では、ホンダはいくつかのディーラーが扱うだけの“隙間ブランド”に変わる公算が大。大量に扱うのは不利になる。「ロシア自動車ディーラー協会」の副会長でBlock Rosko社のオレグ・モセエフ取締役はこう判断する。

*記事全文(露語)

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