人民元切り下げの露経済への影響は

ロイター通信
 人民元の切り下げは、石油の値下がりとルーブル相場の下落を招いた。しかし、専門家らは、将来的には中国の通貨の下落は中国経済の安定化と石油の需要増加を促し、昨年にロシア当局がルーブルを自由化してそうしたシナリオを狙ったのも理由のないことではない、と考えているが…。

 中国人民元の切り下げは、ロシアのルーブルの下落を招いた。とくに、8月12日のモスクワ市場の取引開始時点の米ドルおよびユーロの対ルーブル相場は、この半年で最高の値に達した。ロシア経済発展省の代表らがロシア通信に語ったところでは、為替レートを1,9%引き下げて徐々に人民元を変動相場へ移行させるとの中国当局の決定は、ロシア経済にとって脅威となっている。

 同省の声明によれば、「中国人民銀行の決定は、疑いもなく、すべての発展途上国、新興国の通貨への圧力を強めている」

 

為替相場の下落

 ロシアのルーブルに対して、人民元の切り下げは、石油価格を通して影響を及ぼしている。MFXCapitalの主任アナリスト、アントン・クラスコ氏は、こう語る。「中国の通貨安は、中国が世界最大の化石燃料の消費国であることから、石油価格へ圧力を及ぼしており、これは、ロシア経済に悪影響をもたらしている」。人民元の切り下げ後、8月12日のロンドンの取引所ICEにおけるブレント原油の9月の先物取引の価格は、1バレル49,27ドルにまで下落したが、ロシアの通貨の相場は、石油価格に直接左右される。

 2014年末、ロシア当局も、通貨の切り下げを実施し、その結果、米ドルおよびユーロに対するルーブルの相場は、ほぼ二分の一に下落した。その後、2015年5月、ロシアの通貨は、25%値上がりし、その後、8月初めには、再び四分の一の価値を失った。

 専門家らは、ルーブル安の主な原因は石油価格の下落にあると考えている。アントン・クラスコ氏は、こう語る。「ロシアの通貨の場合には、切り下げが調整されていないことが問題となっているが、中国当局には、自国通貨の安定性を保つためのあらゆる可能性がある」。しかし、同氏によれば、ロシア中央銀行も、当初は、調整される切り下げを口にしていた。そのために、“調整者”すなわち露中銀は、あらかじめ設定された変動幅の限界に達した場合に自国通貨を支えるためにドルを市場で売っていた。が、2014年10月には、露中銀は、自国通貨の相場を支えるために272億ドルを得る羽目となった。

 

生産者の支援

 ドルに対する人民元の公式レートの1,9%の引き下げは、過去20年で最大の人民元の値下がりとなった。だが、その際、中国人民銀行は、安定したレートを「理に適った」水準に維持し、レートの変動における“市場要因の役割を強化”させることとなった。

 7月、中国の輸出は、EU、米国、日本という中国の三大貿易パートナーの側からの需要が低下した結果、8,3%減少している。

 投資会社「ルス・インヴェスト」のドミトリー・ベデンコフ分析課長は、規模を考慮すると将来的には中国経済の活性化は全体として世界経済にとってプラスであるとし、「中国経済の健全さは、原材料市場にとっても重要だ」と述べる。とくに、同氏の考えでは、石油価格がここ数ヶ月間下落している背景として、中国経済が減速するとの懸念も挙げられる。

 ロシア当局も、同様の見方をしており、ロシア中央銀行の声明では、「中期的には、人民元安は、中国の輸出の増加および経済成長の活発化を促す。これは、結果として、石油を含む原料のグローバルな価格に好ましい影響を及ぼし、ルーブル高が促される」と述べられている。

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