ギリシャのデフォルトでロシアは

EPA撮影

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ギリシャ政府は国際通貨基金(IMF)に債務を返済できなかった。これは、5日の国民投票後に、技術的なデフォルト(債務不履行)の宣言が行われる可能性があることを意味する。ロシアにはどれほどの影響があるのだろうか。ギリシャのデフォルトが発生した場合の混乱から、ロシア経済は保護されている。また、ギリシャが欧州連合(EU)から離脱すると、ギリシャとロシアの間で新たな経済貿易関係が発展する可能性もあると、ロシアの専門家は考える。

 ギリシャ政府は30日、16億ユーロ(約2190億円)の対IMF債務を返済しなかった。ギリシャのヤニス・バルファキス財務相が、フランスAFP通信の取材に対して、これを明らかにした。これは事実上のデフォルトに陥ったことを意味する。ロシアの株式市場はこのニュースに反応しなかった。

 FX会社「アルパリ」のアナリスト、アンナ・ココレワ氏はこう話す。「ギリシャのデフォルトは想定内で、投資家の反応は限定的だったが、良くはない。ユーロや株式市場の暴落は予期していないが、ある程度の下落は不可避。株価指数は2~3%の範囲で調整があるかもしれない」

 同様に予期されるのはドル高だ。「ロシアの通貨や株式の全体的なボラティリティは強まるが、ルーブル安がロシア経済にプラスの影響を与えていることを考えると、ギリシャのデフォルトで深刻な悪影響はなさそうだ」と、ロシアの仲介業会社「FBS」分析部のエリザヴェータ・ベルギナ部長は話す。

 ロシアNOWが取材を行った専門家は、ギリシャのデフォルトによって、しばらくの間、ロシアから資本流出が起こる可能性があると考えている。「投資家があまりリスクを取ろうとしなくなり、結果的に、比較的信頼性が高く、収益性の低い資産の需要が高まる」とココレワ氏。

 「対ロシア経済制裁によってロシア市場はすでに1年閉鎖されているため、現在の経済は資本流入に大きく依存していない。したがって大きな圧力や資本流出を予期する必要はない」と、ロシアの銀行「ガスプロムバンク」の上級専門家であるエゴール・スシン氏は話す。

 

経済関係発展の新たな弾

 専門家によると、デフォルトのプロセスは長期化すると言う。ギリシャでは5日、財政緊縮策の受け入れの賛否を問う国民投票が行われる。国民に支持された場合、デフォルト宣言の問題がしばらくの間おさまる。それよりも重要となってくるのは、ギリシャがEUから離脱するのか、ということである。専門家の予測は五分五分だ。

 「ユーロ圏からの離脱は、ロシアとギリシャの貿易関係を和らげるだろう。ギリシャの新しい通貨は弱くなり、対外的にギリシャの製品が安くなる。外部の債権者への依存度が低下すると、ギリシャの対ロシア外交にはプラスになる可能性がある」とココレワ氏。

 「ギリシャはEUを離脱すると、他の国との協力に関心を持つことになるため、これがガスパイプライン『トルコ・ストリーム』のプロジェクトを勢いづけるかもしれない。ただ、ギリシャが必ずしもEUを離脱する運命にあるとは言えない」とスシン氏。

 ギリシャが離脱すると、予測不可能な結果をもたらす可能性があるため、EUはそれを許さないのではないかと、スシン氏は話す。ギリシャの金融システムの規模は1兆ユーロ(約137兆円)を超えている。

 一方で、デフォルトはヨーロッパ経済を不況に戻す可能性もあり、したがってEUの主要な貿易相手国の一国であるロシアとの経済貿易にも直接的な影響をおよぼす可能性がある。