ロシアはギリシャを支援できるか?

ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領=ロイター通信

ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領=ロイター通信

市場関係者らは、ギリシャを支援しうる国の一つとしてロシアを挙げている。しかし、ロシアにとってギリシャのデフォルトはまったく脅威ではないし、ロシアにはギリシャの負債を賄えるだけの資金もない。ロシアの国内総生産(GDP)は、2015年4月には、昨年同時期と比べて、4,2%減少し、翌5月にはさらに幅を広げて4,9%減少した。

 ギリシャ当局は、国際通貨基金(IMF)に15億ユーロ以上を支払わねばならず、支払わない場合には、ギリシャの負債に関して債務不履行(デフォルト)が宣せられうる。市場関係者らは、ギリシャを支援しうる国の一つとしてロシアを挙げているが、ロシアの専門家らは、ロシアにとってギリシャのデフォルトはまったく脅威ではないし、ロシアにはギリシャの負債を賄えるだけの資金もないので、そうしたシナリオはまずありえない、と見ている。

 ロシア国民経済国家公務アカデミー・財務銀行業務学部・証券市場金融工学講座のコンスタンチン・コリーシチェンコ主任は、こう述べる。「ロシア経済が2014年末から2015年初めにかけて経験した低落は、多くの点で、ロシアの国外市場からの“遮断”という否定的なシナリオに沿ったものでした。考えられるギリシャのデフォルトおよび考えられる中国市場の崩落の影響は、ロシアにとってよりも、巨額の借金を負わされた西側の市場にとって、はるかに深刻なものとなりましょう」

 

考えられる支援 

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 ギリシャの負債の総額は、GDPの117%に相当する3200億ユーロであり、ギリシャは、そのうちの約560億ユーロをドイツから直接借りている。投資会社UFS ICのアレクセイ・コズローフ主任アナリストは、こう語る。「ギリシャの経済には、抜本的な改革が必要であり、経済改革が実現されつつあるうちは、巨額の財政支援が不可欠です。ロシアは、今、ロシア経済が被っている圧力や外的背景を考慮すれば、ギリシャに対する十分な額の財政支援を行うことはできません。しかし、ギリシャへの支援の問題は、経済的な性格ばかりでなく政治的な性格も帯びています。とくに、ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相は、2015年のサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムにも出席しました。ですから、ロシアは、15億~40億ユーロという自国にとって許容しうる額の支援をギリシャに対して行う可能性があります。ただし、それは具体的なプロジェクトへの融資であり、ギリシャにはそれでは不十分でしょう。ギリシャは、7月にはさらに59億5千万ユーロを支払わねばなりませんから」

 投資ホールディング「フィナム」のアナリスト、アントン・ソローコ氏は、ギリシャへの支援はロシアとEU諸国の関係を複雑化させかねないとし、こう述べる。「ロシアには、債権国グループに異を唱える権利はありません。いずれにしてもギリシャはEUに加盟しているわけですから、加盟国の経済の問題はブロック内で解決されるべきです」

 また、同氏の考えでは、何らかの特恵的もしくは無償の融資の利用は、ロシアにとって得策ではない。ロシア経済発展省のデータによれば、ロシアの国内総生産(GDP)は、2015年4月には4,2%減少し、翌5月にはさらに幅を広げて4,9%減少した。

 

“質への逃走”の影響 

 コンスタンチン・コリーシチェンコ氏は、考えられるギリシャのデフォルトがロシアにもたらす被害は他の国々と比べてかなり小さいものの影響はいずれにしても避けられない点を指摘し、こう語る。「そうした事態の推移の影響は、ロシアにとって、欧州にとってよりも深刻でないにせよ、かなり強く感じられるものとなりえます。第一に、開発途上国の債権を売り米国の債権を買うという“質への逃走”が生じ、これは、株価の下落およびその結果としての融資プロセスの減速を招きます。第二に、ギリシャの出来事は、ギリシャ以上に市場に悪影響を及ぼしうる中国市場の低落と時期が重なっています」

 同氏によれば、ギリシャの債務のリストラクチャリングの後には、ロシアその他のギリシャのパートナーは、提供される融資が旧債権国への債務の返済に使われることを懸念せずに共同プロジェクトをかなり容易に推進することができる。その一つは、ロシアから黒海の海底を経由して南欧へ至るガスパイプライン「トルコ・ストリーム」のプロジェクトであり、ロシアは、同プロジェクトの実現のためにギリシャへ20億ユーロの融資を行うことにすでに同意している。