EPA通信
「ロシアでこのような法案が可決されたことで、日本は非常に困難な状況に陥っている。これは漁業者だけでなく、関連産業にも悪影響をおよぼすため、極めて遺憾。流し網漁禁止で直接的な影響は年間30億円と試算されている。流し網漁の中心である根室市の推計によれば、漁具の生産、加工、輸送など、この地域経済におよぼすダメージは250億円ほどになる」と日本の水産庁の関係者は話す。
法案が成立した場合、2016年1月1日より流し網漁は禁止となる。ロシアと外国の漁船のどちらも対象。法案作成者の一人であるヴァレンチナ・マトヴィエンコ上院議長によると、この法案は「ロシアの経済の安全性維持と沿岸地域の社会・経済状況改善」を目的としているという。「ロシアのEEZ内でのサケ・マスの流し網漁は、世界の海洋の生物資源に十年ではおさまらない大きなダメージを与える」。ロシア極東地域は近年、流し網漁の即時禁止を強く求めていたという。「しかし、残念ながら、関係ロビイストから強い圧力がかかり、法案は採択できなかった。現在は状況が異なっている」とマトヴィエンコ上院議長。
流し網漁禁止法は日本に向けられたものではないという。マトヴィエンコ上院議長は、「日本のパートナーは、これが対日本などではないことを理解していると思う」と述べた。「我が国のEEZでの漁を許可する1985年の協定(日ソ漁業協力協定)は有効であり、破棄されない。日本の漁業関係者用の漁獲割当も減らない。国際的な要求にもとづき、海洋生態系や魚の個体数に悪影響を与えることなく、文明的な方法で漁を行っていただくということである」とマトヴィエンコ上院議長。
流し網漁とは、何十キロもの長い網を使って水面付近を泳いでいる魚をからませる方法。産卵期の群れを含む魚の群れだけでなく、海洋哺乳類、鳥類、その他さまざまな生物が網にかかる。経済および生態系に有害だと評価されている流し網漁をロシアで段階的に減らしていくという問題は、カムチャツカ地方の議員によって幾度となく提起されていた。
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