原油輸出による高収益時代は終焉?

イリヤ・ピータレフ撮影/ロシア通信

イリヤ・ピータレフ撮影/ロシア通信

アメリカは1975年以来の世界産油国ランキング第1位に返り咲き、ロシアを第3位に押し下げた。第2位はサウジアラビア。イギリスの大手石油会社「BP」の「世界エネルギー統計年鑑2015年版」がこのような結果を示した。BPのロバート・ダドリー最高経営責任者(CEO)は、10年前だったらこのような勢力バランスを想像できなかったであろう、と述べている。これがどのような影響をおよぼすのか。ロシアNOWが専門家に聞いた。

アレクサンドル・パセチニク氏、国家エネルギー安全基金(FNEB)分析部門部長

 アメリカの石油をロシアの競合相手として見るのであれば、どこが最上位かにとらわれる必要はない。アメリカ、サウジアラビア、ロシアは3大産油国で、ここに大差はないため。分野別のロシアの課題は少し異なってくる。我々は現在、太平洋地域に焦点を当てている。中国、インド、韓国、日本の市場には大きな輸出増の可能性があるため、インフラを拡充することが重要となってくる。牽引車はもちろん、中国。中国の需要増に応じた採掘ペースにすることが重要。もっとも、ここには長期契約の不履行のリスクが存在する。ロシアは輸出のポートフォリオを拡大しているが、採掘分野のトレンドには停滞の向きがある(ロシア連邦エネルギー省の試算では、2020年まで年間5億2500~5億3000万トンの生産を維持する)。

 追加的な石油をどこで得るのかわからない。採掘量の一部はイランからの輸入を止めることになるかもしれないが、ロシアがイラン産石油を購入するのは政治的な色合いのある暫定的な動きであろう。生産増加のペースが遅くなったことで、ロシアが輸出市場を完全に失うのではないかと言うのは時期尚早。

 国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、中国はロシア以外の国からの供給も余裕で消費できるという。もう一つの重要な点としては、専門家の予測に反し、5月にロシアで記録的な産油の伸びが記録されたことがある(5月の産油量はロシアで1日1070万8000バレル、サウジアラビアで1025万バレル)。

 好調だった理由を見つけることも重要。1バレル100ドルを超えていた過去10年の効果が、採掘への投資の拡大という形でようやく出てきたのか。それともルーブル安によって、石油会社のルーブルの収入が増え、それによって2015年にルーブルの投資を拡大させ、大規模な輸入代替(燃料・エネルギー複合体向けに国産品を購入)を行うという最初の成果が出てきたのか。5月の生産量の記録的な増加の理由は、第2~3四半期の結果で明らかになるだろう。

 

ミハイル・クルチヒン氏、民間エネルギー調査会社「ロスエナジー」パートナー

 ロシア政府の主な課題は、現在の産油量のレベルを維持し、増やさないこと。エネルギー戦略(新案が最終承認されようとしているが)には、もっとも楽観的なシナリオとして、ロシアが年間5億2600万~5億2700万トンの生産レベルを維持すると書いてある。悲観的なシナリオを、政府は産油量の低下としており、2035年までには年間4億6700万トンまで減少することになると書いている。

 これは埋蔵原油の質の悪化に起因するものである。新しい鉱床はどんどん小さくなっており、インフラからどんどん遠くなっている。そして、採掘は地質学的にどんどん難しくなっている。採掘が簡単な広い油田の大部分は、生産減少段階にある。しかしながら、ロシアの遅い生産ペースは、ロシア経済に直接影響しない。

 アメリカ、サウジアラビア、その他の国で産油量が増加しているということは、世界市場における石油量が増加しているという意味である。

 例えば、アメリカが産油量を増やしているのは、何よりも輸入をやめるため。アメリカに輸出していた国は、新たな市場を探さなくてはいけなくなる。これは価格への圧力を意味する。これこそが、まず、ロシア経済に影響を与えるのである。

 原油価格が安くなると予算歳入が減るだけでなく、効率良く埋蔵原油の開発を行うための資金が、石油会社にあまり残らなくなることを意味する。ロシアでいわゆる難採油を採掘するには、1バレルあたり85ドル以上が必要。現状で難採油を販売することは不可能である。そのため、難採油の採掘も止まる。

 つまり、ロシアの輸出収入時代は終わったのではないか。他の分野で経済を成長させる必要がある。