ウクライナ東部の経済の実態は?

ヴァレリイ・メルニコフ撮影/ロシア通信

ヴァレリイ・メルニコフ撮影/ロシア通信

ウクライナ東部で紛争が発生して以来、未承認のドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国では人口が6割減少し、銀行の営業は停止し、住民は年金や給与を受け取れなくなった。同時に、東部ではウクライナの実業家の所有する大手企業が活動を続けている。

 ロシアの経済紙「RBCデイリー」によると、ウクライナ東部の両共和国の人口は、60%減少した。義勇軍が管理している東部には現在、200~250万人が暮らしており、うち約100万人が年金受給者である。どちらの共和国でも予算は適用されておらず、資金配分は暫定的な状況にもとづいて行われていると、ドネツィク人民共和国税務省は説明する。年金および社会手当の支払いだけでも、両共和国は少なくとも年間9億4700万ドル(約1136億4000万円)を必要とする。だがこれほどの資金は両共和国政府にはない。

 

住民の生活

 ドネツィクの博物館で働く年金受給者の女性は、昨年8月以降、ウクライナからもドネツィク人民共和国からも給与を支給されておらず、またウクライナの年金を最後に支給されたのは昨年10月だという。だがそれを銀行カードで引き出そうとしても、現金自動預け払い機(ATM)のほとんどがその時期までには停止していたため、受け取ることができなかった。ウクライナは昨年11月、東部の経済と輸送を封鎖すると宣言していた。この女性は毎朝、社会食堂で朝食をとっている。これはドネツィクのホテルの1軒を所有している近所の住民が開設したもの。夕食はウクライナの大富豪実業家リナト・アフメトフ氏の人道基金「ポモジェム」から毎週受け取っている食材を使い、家でつくっている。

 ドネツィクでは公務員に給与が1度しか支給されていない。昨年10月下旬、ドネツィク人民共和国最高会議の議員選挙の前に、医師や教師に9月分の給与が支払われた。次の支払いがいつになるかは不明。 昨年11月以降、両共和国のすべてのATMおよび店頭の販売時点情報管理(POS)端末は停止している。だがアフメトフ氏のグループ企業「システム・キャピタル・マネジメント(SCM)」の社員を含め、多くの住民は決済カードで給与を受け取っている。ちなみにアフメトフ氏は「フォーブス」誌の世界長者番付で201位に位置している。資産総額は67億ドル(約8040億円)。

 

企業の活動

 両共和国にあるSCMグループの企業では、7万人以上が働いている。SCMは義勇軍の管理地域にあるアフメトフ氏のグループ企業の最大手。ウクライナ東部では製鉄工場からキオスク薬局までの異なる数十の資産が、アフメトフ氏の所有になる。輸送が封鎖されたにもかかわらず、SCMは工場に原料を供給し、ウクライナへと製品を納入する手段を見つけている。

 その一方で、大物実業家のほとんどは、社員への給与の支払いや人道支援の供給が制限されている。ルハンシク人民共和国では、ほぼすべての大手工場が止まっている。東ヨーロッパでもっとも近代的なアルチェフスキー製鉄コンビナート・コークス工場は、昨年8月に閉鎖された。ルハンシク市最大手「ルハンシクテプロヴォス」は、ドイツとアメリカからのエンジン輸入に問題が生じ、2月に操業を停止した。

 両共和国政府は今年初め、ウクラ​​イナの通貨グリブナの現金が不足していると発表し、共和国内に多通貨圏を開設。グリブナの他に、ルーブル、ドル、ユーロを圏内で流通させた。これらの通貨で店で支払いを行うこともできるし、納税、給与の支払い、年金の支給も可能となっている。

 その際、両共和国の税制は最大限にシンプルになっている。ルハンシク人民共和国の企業は業種に応じて、売上高の3~8%の税金を支払う。ドネツィク人民共和国では純利益の20%または売上高の2%の二者択一。両共和国の住民の所得税率は、ロシア水準の13%に設定されており、個人事業主は営業許可証を固定料の支払いをもって受けとる。

 

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