セルゲイ・セヴァスチヤノフ撮影/タス通信
ルーブル安は国産品の輸出を魅力的にした。「ルーブル安によって、企業は自社製品を外国の買い手に販売する方がはるかにもうかるようになった」とロシアの大手証券会社「フィナム」のアナリスト、アントン・ソロコ氏は話す。原料経済にとって、通貨が強い圧力にさらされている時は、このような状況が典型であるが、最終的にはこれが国内市場の物価上昇を引き起こす。
ロシア経済・国家行政アカデミー(RANHiGS)、E.T.ガイダル経済政策研究所、ロシア連邦経済発展省の共同研究書「ロシアの経済状況モニタリング」の著者らの説明によると、2014年終わりと特に2015年初めに起きた工業製品の生産者価格の高騰は、急速なルーブル安がもたらした価格への為替レート転嫁と関連している。ルーブルは対ユーロ、対ドルで特に、2014年秋から半落した。
RANHiGSによると、実際の価格が予測よりもゆっくり上昇している業界もあれば、速く上昇している業界もある。特に、鉄鋼、肥料生産で価格高騰が著しい。ロシア連邦国家統計局のデータによれば、加工業製品の1月の価格は、前月と比べて2.7%高くなった。しかしながら、年換算すると鉄鋼製品は36.7%、化学製品は29.7%の値上がりである。このような状況を受けて、ロシア政府は鉄鋼製品の輸出関税導入を提案した。
ロシアの大手鉄鋼メーカーをまとめる非営利パートナーシップ「ロシアの鉄鋼」は、ロシアNOWの取材に対し、国内価格は海外市場の価格よりはるかに安いと説明した。また、メーカーは海外で設備を購入しなければならないという。結局、3月3日に行われたイーゴリ・シュワロフ第一副首相との会議で、ロシアの鉄鋼メーカーは国内の買い手向けの価格を引き上げないことに合意し、政府は輸出税導入をやめた。
政府は他の分野の価格上昇にも関心を示している。連邦農業省によると、1月だけでも特定種の肥料の価格上昇率は3%に達した。この時、肥料メーカー自体のデータによれば、むしろこの統計はかなり控えめで、価格は40%上昇したという。政府は状況を安定させるために、肥料税の導入も提案した。「肥料メーカーはこのような事態を防ぐために、割り引きサービスの導入、価格凍結の準備など、あらゆる努力をしている。農家が購入する肥料は輸出量よりもはるかに少ないという状況でありながら」とRANHiGSの共同研究書著者は話す。
連邦漁業庁も、国内市場の価格を安定させるために、水産物の輸出関税を近い将来導入することを提案した。すでに水産物の輸出関税導入に関する議論を始めたが、今のところ決定しているのは価格監視の継続である。
現時点で輸出関税が導入されているのは、小麦のみである。輸出関税は関税価値の15%プラス7.5ユーロ(約970円)で、2月1日に始まっている。導入後、ライ麦、大麦、トウモロコシといった小麦代替物の輸出が急増し、飼料市場の状況を難しくしている。それでも、アルカジー・ドヴォルコヴィチ副首相は3月、「インテルファクス」通信に対し、春にも小麦の輸出関税をさらに引き上げる可能性があると述べた。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。