Legion Media撮影
アメリカ系金融情報サービス大手「ブルームバーグ」によると、サウジアラビアの日中韓石油市場のシェアは昨年、26%から24%に縮小した。アジア太平洋諸国の市場でのシェアの減少は、他のアラブ諸国も同様で、カタールは市場でシェアを7.4%縮小させた。クウェートは輸出量をほぼ維持したものの、日中韓市場のシェアを7.2%から7%に縮小させた。
ロシアから昨年、日中韓市場に輸出された石油は、5100万トンまで増えている。今後5年で中国への輸出量はさらに1500~2000万トン増えると、専門家は予測する。
ロシアはヨーロッパとの外交関係悪化を背景に、輸出の転向政策を強化。今日の優先国は中国、日本、韓国になっている。これらの国の成長の潜在性は欧米よりはるかに高く、また将来的なエネルギー資源の需要も伸びていくと予測されている。
「ロシアは以前からアジア市場に関心を持っている。西側諸国よりも平均して1バレルあたり5ドル(約600円)高く原油を購入する用意がアジア諸国にある」と、ロシアの仲介業会社「FBS」のアナリスト、キーラ・ユフテンコ氏は説明する。
アジア諸国もまた、ロシアとの長期的な提携に関心を持っている。ユフテンコ氏は、国際政治の観点から、アメリカとの結束の強い湾岸諸国よりも、ロシアはより信頼できるパートナーではないかとも話す。
ロシアNOWが意見を聞いた複数の専門家によると、中国はロシアから石油を地上経由で輸入することで、中東からの海上経由の輸入への依存度を減らせるという。中国政府は天候の状態によって輸送が止まることを不安視している。
「またアジア諸国、特に中国にとって、輸出国の間で競争がある方が有利になる。その方が良い契約価格になるため」と、ロシアの仲介業会社「FBS」分析部のエリザヴェータ・ベルギナ部長は話す。
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サウジアラビアはすでに、アジアの輸出先に大幅な割引を提案している。国営石油会社「サウジアラムコ」は、アラブ・ライト原油の3月のアジア向け公式価格を90セント(約108円)値下げした。その結果、中国にとって、中東の主要な油種よりも、1バレルあたり2.30ドル(約276円)安くなっている。これは、サウジアラビアがここ14年で提案したもっとも低い価格である。値下げ競争には、OPECの他の国すなわちイランとイラクも加わっている。特に、イラクのバスラ・ライト原油は、中東の石油より1バレル4.1ドル(約492円)安くアジアで販売されている。
「サウジアラビアの原油生産コストはロシアよりも低く、理論的には、サウジアラビアはより大幅な値引きを提案することができる。それでもロシアは競合し続ける。中国に大量の原油を直接輸出でき、他のアジア太平洋諸国に海上の短いルート経由で輸送できるような巨大なインフラがロシアにはある」と、ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のアナリスト、グリゴリー・ビルク氏は話す。
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