失業問題を懸念する政府

ウラジミール・スミルノフ/タス通信撮影

ウラジミール・スミルノフ/タス通信撮影

ロシア政府は今年、失業対策に520億ルーブル(現行レートで約940億円)を配分した。ロシアの失業率は5.3%と、世界有数の低さを保っている。しかしながら、企業の従業員が無給休暇に入ったり、就業時間を短縮したりすることを余儀なくされる、「隠れ失業者」と呼ばれる問題も存在している。

 ロシア政府は昨年末以降、週単位で労働市場の状況を監視してきた。ロシア連邦経済発展省は、2015年末までに失業率が6%に達すると予測している。ちなみに、20082009年の世界金融危機の際、ロシアの失業率は6.2%から8.3%に増加した。 

 

失業者の人数は

 ロシア連邦労働省のデータによると、12128日の週で正式に登録された失業者の人数は前の週から3.4%すなわち約3万人増となる、903300人に達した。また、235000人が「潜在的被解雇者」リストに登録された。これは主に、自動車、機械、電気機器、建設資材、食品の製造分野で働く人である。

 「需要が落ちているか運転資金が不十分な企業には大きなリスクがある」と、複合戦略研究所のヴェラ・コノノワ氏は話す。これらの企業にとっては、多くが国家支援の有無に依存するという。

 労働省は最大規模の解雇が予測される地域として、チェリャビンスク州をあげている。モスクワの東1800キロメートルに位置する工業地域である。今年5月までに、地元のトラクター工場の従業員が最大82%、すなわち6100人解雇される可能性もある。

 「ブルーカラー」だけでなく、「ホワイトカラー」の失業もあり得る。ロシア経済・国家行政アカデミーのアレクサンドラ・ポリャコワ上級研究員はこう話す。「『リスク・グループ』に入るのは、マーケティング担当者、セールス・マネージャー、弁護士」。また、ロシア連邦通信省の予測によると、広告市場の落ち込みと印刷コストの上昇により、マスメディアの従業員が1520%減るという。

 

「隠れ失業者」

 「隠れ失業者」と呼ばれる人が、ロシアで急増している。これはフルタイムで働けない従業員のことである。労働省のデータによると、このような従業員は1月最終週で12.8%増加した。

 「ロシアには『市内または地域内の住人が皆同じ工場に勤務』している企業城下町的な企業が多い。そのため、不況の際には無用な社会的緊張の回避を目的として、雇用者が従業員を解雇せずに、労働時間削減または強制休暇の措置をとることを好む」とコノノワ氏。

 ロシア経済・国家行政アカデミー労働・社会政策学部のアレクサンドル・シチェルバコフ教授によると、ほとんどの場合、企業城下町の大企業での仕事は、社会保険の受給を意味するため、解雇は究極の手段と考えられている。

 2013年のデータによると、ロシアにはソ連時代から続く企業城下町が計342市町村あった。ソ連の計画経済では失業率がほぼゼロであったが、市場経済の現代においては、このうちの142市町村の失業率が全国平均よりもはるかに高い。