有識者が示す経済危機脱却案

アレクセイ・フィリポフ撮影/ロシア通信

アレクセイ・フィリポフ撮影/ロシア通信

厳しい状況に直面しているロシア経済。経済を救うには何が必要となってくるのか。メドベージェフ首相、ヤシン元経済相、実業家プロホロフ氏、経済学者イノゼムツェフ氏の意見をロシアNOWが集めた。

エヴゲニー・ヤシン氏、元ロシア連邦経済大臣(19941997)、ロシア国立研究大学「高等経済学院」学術研究担当

 「2003年から2008年までは、確固たる経済成長の源すなわち原油価格の上昇があった。一部の人は、原油価格が1バレルあたり100ドルまで戻れば、現在の危機的状況を打開できると考えている。しかしながら、以前のような成功をロシア政府はもはやくりかえすことができない。原油価格が上昇し続けることが必要となり、例え原油高であっても安定水準を保つだけでは以前のような成長にはならない。ロシアは選択を迫られている。石油とガスの価格の上昇によって成長するか、市場経済の発展によって成長するか。後者であれば新しい制度と原則が必要になる。競争、ビジネス・チャンス、法の支配、その他民主国家に不可欠な部分だ。再建できれば、西ヨーロッパや日本に匹敵する、もしくはそれ以上の成長率を達成することも可能である。現在必要としている転換は、経済的改革ではなく、何よりも法的、政治的改革ではないだろうか。総じて、社会の完全な現代化、ロシア人自身の精神的な建てなおしが必要である」

 

ミハイル・プロホロフ氏、ロシアの政治家および実業家、富豪

「経済成長の新たなポイントの一つとなるのは、土地政策の変更。土地は国の財産の巨大かつ未開発な要素。国民が土地を使い、それを最大限に経済活動に組み込めるようにすることが必要。土地の私有権を人口集積地の土地にも広げながら強化し、所有者の同意なしに土地を没収することが一切できなくなるようにすることが必要である。地所の供給を大きく増やせば、国民の預金数兆ルーブルがこの新しいタイプの試算に投資されるのではないか。これは国の様々な地域における民間住宅建設の前提条件を整える。今日、遠隔地のインフラの巨大プロジェクトは必要でなく、国内全域の中小プロジェクトを刺激することで実質的な成長が起こるのではないか」

 

ウラジスラフ・イノゼムツェフ氏、ロシアの経済学者、非営利活動組織「脱工業化社会研究センター」創設者

「70万ヘクタールの売却は3兆2000億~3兆5000億ルーブル(現行レートで約5兆4900億~6兆円)、GDPの約4%の収入をもたらす。市場からのこれらの資金の流出はルーブルへの圧力を制限し、通貨投機家の血気を冷やす。次のステップでこれらの資金は開発地域の道路およびインフラの建設に使われる。この地域では国が土地購入者の管理を行う。民営化された土地でのインフラ建設のみが、国のGDPに1.2~1.4%を追加し、最大2400億ルーブル(現行レートで約4120億円)の税金を国庫にもたらすことができる」

 

ドミトリー・メドベージェフ氏、ロシア連邦首相

 企業の発展が危機の克服に寄与する重点施策の一つだと、政府内では考えられている。「経済における国家関与の低減の路線は明瞭であり、事業により大きな自由を与えることは最高の危機打開手段である」とメドベージェフ首相は1月29日の内閣会合で述べた。政府が12月末に採決した危機打開計画に、中小企業支援措置が含まれている。これは地方経済のための税優遇措置。また、個々の企業家のための2年免税も導入される。対象は生産と社会サービスの2分野。さらに、革新企業の支援に50億ルーブル(現行レートで約8560億円)が割り当てられる。

 

*以下の記事を参照。

コメルサント紙

RBCデイリー

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる