S&P格付けは投資の流れ止めるか

写真:ロイター通信

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アメリカの格付け大手「スタンダード&プアーズ(S&P)」は26日、ロシア国債の信用格付けを「投機的等級」に引きさげた。これによって外国人投資家による資産の売却が予期される。しかしながら専門家は、リスク以外に、外国企業による現地生産化の刺激を見いだしている。

 ロシア国債の信用格付けを「BB+」に1段階引きさげた、3大格付け会社の最初の1社となったSP。今後さらに格付けを引きさげる可能性もある。SPの説明によると、対外債務償還のための融資をロシアの銀行や企業に行うことが可能な、外貨準備高が減少しているのがその理由。外貨準備高は昨年、ほぼ40%にあたる1130億ドル(約135600億円)減少した。 

 ロシアNOWが取材した専門家は、投資家にとって今回の判断が驚きではなかったことから、ロシア資産からのパニック的な逃避はないと話している。主なリスクとなるのはコベナンツの履行。

 

今後どうなるか

 専門家によると、リスク圏に現在入っているのは、西側で社債発行を通じて資金を調達したロシア企業。コベナンツが働く可能性もある(債務の期日前返済の条件)。ジャンク債まで格付けがさがると、条項に応じて、早期償還が必要になる場合がある。ロシア企業の出費はこの時、2030億ドル(約24003600億円)に達する可能性がある。アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相は昨年末の時点で、このような評価を行っていた。

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 ロシア経済・国家行政アカデミー金融・銀行問題学部のセルゲイ・ヘスタノフ准教授はこう話す。「ムーディーズまたはフィッチが格付けを引きさげると、状況は危機的になる。多くの場合、債務の早期返済のための主な条件となるのが、3大格付け会社のうちの2社の引きさげ」

 「他の2社の評価はまだ投資適格級。しかしながら、非居住者の資金がロシアの株式市場やロシアの発行体の債券市場から流出する動きが強まって、それが株価指数や債券市場の成長率の低下に影響する可能性もある」と、ロシア経済・国家行政アカデミー金融システム分析センターのアレクサンドル・アブラモフ上級研究員は話す。

 投資適格級を失うことで、海外の債券市場が最終的に閉鎖されることにもなりかねない。

 SPの決定はルーブルにさらなる圧力をかける、と専門家。ロシアの「アルファ銀行」の上級エコノミスト、ナタリヤ・オルロワ氏によると、ルーブルの下落は、35%に達する可能性があるという。

 

ロシアに残るのは

 ヘスタノフ准教授は一方で、ルーブル安が製造業への追加的な刺激になり得ると考える。「ルーブルの下落は、外国企業による50%以上の現地生産化を含め、ロシア製品の競争力を著しく高める」。格付け引きさげはロシアで生産を立ち上げたい企業の障害とはならないという。

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 「ほとんどの製造会社はロシアでの活動を続ける。これは金融機関にも関係がある。投資・銀行業務の収入は減少するであろうが、外部状況の23年の変化に過敏に反応するのを回避するに十分な懐の大きさが、ロシアの外国パートナーとの事業計画にはある。地政学的要因でロシアからの事業撤退を希望する企業は、それをすでに実施している」とアブラモフ上級研究員。

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