グリゴリイ・シソエフ撮影/ロシア通信
募債は11日、秘密裏に行われた。受け取り額の全額が利率なしの6年債を通じて、子会社6社「RNスタヴロポリネフテガス」、「RNクラスノダルネフテガス」、「RNプルネフテガス」、「RNツアプシンスキーNPZ」、「RNユガンスクネフテガス」、「RNセヴェルナヤ・ネフチ」に等分配されることをロスネフチが伝えたのも、11日の夜であった。国内史上最大規模の社債の買い手が誰かも明かされていない。
「この募債は、最近決まった国家保有のロスネフチ株式の売却に関係していると考えることができる。投資支出を補うための資金がロスネフチに必要になった可能性も十分ある」と、ロシア経済・国家行政アカデミー国家規制講座のイワン・カピトノフ准教授は話す。社債の買い手や資金の出所について話すのは、時期尚早だという。
珍しいケース
ロシアの大手証券会社「フィナム」のアナリスト、アントン・ソロコ氏によると、6250億ルーブルの募債はロシアにとって多額であるため、国営銀行が買い手になった可能性が高いという。「募債の規模の大きさや早さから、今年の一大事と呼ぶことができる。2014年の10ヶ月間でルーブル債の募債総額は1兆600億ルーブル(約2兆1200億円)になっている。ロスネフチ単体の募債は2014年初めからの発行量の3分の1以上」
ロスネフチはこの取り引きについてコメントしておらず、ロシア市場にとって珍しいケースとなっている。「今後起こり得るシナリオとして可能性の高いものは2つ。その1つは国有株の私有化に関連するもので、最終投資家が中国人であること」とソロコ氏。
ロスネフチの6250億ルーブルの社債はロシア中央銀行で担保になっている可能性もある。「RBCデイリー」紙によると、中銀はこのような融資を他の企業にも推奨している。ロスネフチの募債は始まりにすぎず、他の企業も活用する可能性があるという。国営ガス最大手「ガスプロム」やニッケル生産最大手「ノリリスク・ニッケル」が異なる期間の社債を発行する可能性についても、中銀で協議された。
市場への影響
「ロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)」の子会社「ズベルバンク CIB」のアナリストによると、ロスネフチの大量のルーブル取得にからむ主な疑問とは、それを外貨に交換するかということである。6250億ルーブルを外貨に交換することが決まると、為替レートは崩れる。そのため、15、16日に対ユーロ、対ドルでルーブルが大幅に下落した後、市場ではロスネフチが外貨を購入したという噂が流れた。しかしながら、元第1副首相であるロスネフチのイーゴリ・セチン社長は、この情報を否定した。
ロシア連邦経済発展省は11月、ロスネフチによる国民福祉基金からの資金融通要請を却下している。要請金額は2兆4000億ルーブル(約4兆8000億円)。経済発展省は、この要請が国民福祉基金の投資規定に準拠していないと判断した。この額は基金の規模をこえるものだという。「我々は企業に融資しないし、企業の投資プロジェクトにも融資しない。インフラの個別のプロジェクトに融資する」とアレクセイ・ウリュカエフ経済発展相は述べた。ロスネフチはこれらの要求事項を考慮に入れた上で、再要請を行わなければいけないという。
ロスネフチの純債務は昨年、445億ドル(約5兆3400億円)ほどだった。2014~2015年には総額300億ドル(約3兆6000億円)の債務のピークが訪れる。
アメリカ財務省は7月、対ロシア制裁として、中長期的(3ヶ月以上)な資金融資や新株を伴う資金融資をロスネフチに行うことを、アメリカの企業、金融機関、個人に禁じた。
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