AP通信
2014年11月のロシアにおける自動車の販売は、ひと月前に市場は最低でも10%の減少を示したものの、事実上、昨年の水準を回復した。欧州ビジネス協会(AEB)の調査によれば、2014年11月にロシア国民は一年前を1%下回る22万9400台の自動車を購入した。最も販売が伸びたのは、高級車で、とくに、ポルシェは55%、レクサスは63%、それぞれ増加した。
また、キアは19%、ルノーは8%、トヨタは32%、三菱は11%、それぞれ増加したが、ロシアの大手自動車メーカー「アフトワズ」の自動車の販売は、逆に17%減少し、ラーダ・グランタは、ロシアで最も売れる自動車の座をキアのニュー・リオに奪われた。
主な原因
専門家らは、買い手が車を購入したがる理由はルーブル相場の下落にあると見ており、AEB自動車メーカー委員会のヨルグ・シュライバー委員長は、こう語る。「ここ数週間、小売の自動車に対する空前の需要が見られましたが、その背景には、国家支援プログラムや来年は値上がりが予想されるので今のうちに買っておこうという消費者の心理があります。データによれば、12月の予想はかなり楽観的なもので、ロシアの自動車市場にとって苦しかった今年を首尾よく締めくくれるとの期待が高まっています。販売増加の原因としては、中古車の処分と併せた新車の購入を促す国家プログラムや自動車の駆け込み需要をもたらすルーブル安を挙げることができるでしょう」
投資会社UFSのリージング管理責任者であるスタニスラフ・スカトキン氏は、こう述べる。「ルーブル安は、自動車に対する需要の増加をもたらしました。ロシア国民は、日に日に価値を失っていく預金を維持すべく、自分の預金を車の購入に充てようとしています」
また、ロシア国民経済国家公務アカデミー・金融&銀行業務学部・証券市場&金融エンジニアリング講座のコンスタンチン・コリシチェンコ主任は、こう語る。「今年は、11月が自動車の販売が最も好調な月となり、3~4月には不動産市場が活況を呈しましたが、これらは、自身の預金に対する国民の懸念を反映する現象と言え、どちらも、国民が物価の上昇を危惧していて手持ちのルーブルを今のうちに使おうとしていることを、物語っています。世界の主要通貨に対するルーブルの相場が50%も下落すれば、インフレの懸念が強まります」
来年の見通し
販売の増加を大きく促したのは、中古車を売った人には割安で新車が購入できるようにした国家支援プログラムであり、産業通商省のデータによれば、このプログラムに基づいた販売の台数は、すでに13万台を上回っており、同省は、年末までに合計17万台を販売する予定であるという。
スタニスラフ・スカトキン氏は、自動車部門を支えるもう一つのツールとしてベラルーシで需要が高まっている点を指摘し、こう語る。「ベラルーシ国民は、その多くが外貨で預金をしており、今のレートでドルをルーブルに替えてロシアで自動車を購入したほうが得であると考えているのです。現に今も、ベラルーシとロシアのディーラーの間では、新車の価格に大きな開きがあり、ロシアよりベラルーシのほうが、30~50%も割高なのです」
しかし、需要の伸びにもかかわらず、産業通商省の予想では、2014年のロシアにおける軽自動車や小型の商用車およびトラックの生産は、全体で8%減少する可能性がある。スタニスラフ・スカトキン氏は、こう語る。「2014年12月には、残っている車を買う人がいるので、市場は若干の伸びを示すでしょうが、多くの自動車メーカーは、自社製品の価格をすでに引き上げているので、今後、消費者は、そちらへはあまり目を向けず、ディーラーからの最も有利なオファーを見つけようとするでしょう」
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