アレクサンドル・クレビャーキン撮影/タス通信
ロシア連邦国家統計局のデータにもとづいたロシア連邦観光局の発表によると、2014年1月から9月までの間にロシアを訪れた中国からの旅行客の数は、昨年の同じ時期と比べて10%多い、35万8200人。次に多かったのはドイツからの旅行客で31万8700人。これは昨年同期比8%減。3番目に多かったのはアメリカからの旅行客で12万900人。昨年同期比は実に34%減。
ロシアの投資会社「ルス・インヴェスト」分析部のドミトリー・ベデンコフ部長はこう話す。「欧米の旅行客の流れに替わる、東方や南方からの旅行客の流れがあるため、今のところ外交関係の悪化は観光流動に影響をおよぼしていない」。同時に、ロシアでは国内旅行も増加している。
外国人旅行客の増減
ヨーロッパ全体でロシアに旅行する人が減っている。スペインからの旅行客は13%減の5万6000人、フランスからの旅行客は2%減の8万3000人。
一方で、中国と同様に伸びを示しているのが、57%増の7万人となった韓国からの旅行客(相互ビザ免除に起因)と、4%増の4万9000人となった日本からの旅行客。
今年9ヶ月間にロシアに入国した外国人の数は、昨年の同じ時期と比べて4%多い、2495万人。うち観光客はわずか224万人である。これは昨年の同じ時期と比べて3%少ない。
ルーブルが対ドルで50%以上下落しているため、ロシア旅行はお得になっている。ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、アレクセイ・コズロフ氏はこう話す。「外貨に換算した場合の価格は下がっているため、一見ルーブル安でロシア旅行の魅力が増しているように見える」。ベデンコフ部長はこう話す。「ルーブル安によって外国人旅行客の購買力が増すため、お得になる」。ただし、ルーブル安はインフレを加速させるため、結局ホテルや移動など、旅行業のサービスの価格はあがってしまうという。
ロシア人の海外旅行
観光局によると、ロシア人の海外旅行も落ち込んでいる。今年9ヶ月間にロシアから海外に出国した旅行客の数は、昨年の同じ時期と比べて2%少ない、1460万人。
旅行先としてもっとも人気が高かったのはトルコ。305万6000人が訪問した。2位はエジプトの190万人、3位はギリシャの97万6600人。
ロシアの投資会社「フィナム・マネジメント」のアナリストであるマクシム・クリャギン氏はこう話す。「今年ただでさえ倒産が相次いだロシアの海外旅行業だが、ルーブル安が進み、なおも強い圧力を受け続けている。海外旅行値上がりで需要は減っている」。近い将来、海外旅行をするロシア人が15~20%減る可能性もあるという。一方で、ロシア人の国内旅行が活発になる可能性もある。「ルーブル安で国内のリゾートの競争力は高まる」とクリャギン氏。ただし、国内生産の強化と同様、国内旅行の強化には、質の向上、インフラの整備などの課題を解決する必要があるという。「価格だけでは国内旅行発展の起爆剤にはならない」とクリャギン氏。
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