プーチン大統領は17日、訪問先のイタリア・ミラノでウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領と会談。=ロイター通信
プーチン大統領は17日、訪問先のイタリア・ミラノでウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領と会談。ガス問題について一定の前進があったことが明らかとなっている。また21日には、ベルギーの首都ブリュッセルでウクライナ、ロシア、欧州連合(EU)の3者協議が再び行われる。ロシアとウクライナのガス問題の今後について、ロシアNOWが専門家に話を聞いた。
ミハイル・クルチヒン氏、ロシア民間エネルギー調査会社「ロスエナジー」パートナー、アナリスト、石油ガス分野・政策コンサルタント
ロシアがウクライナの提案する経済条件を受け入れることが重要。条件はかなり賢明なものだが、ウクライナとの決済方法を変更する決定は政治的になるため、協議は長引く。ウクライナの提案は、ガス契約、特に価格決定方式の見直すもので、ロシア、ウクライナにとって有利になるかもしれない。
ウクライナが主張しているのは、一部ヨーロッパ輸入国と同様の計算にすべき、すなわちガスのスポット価格に結びつけるべきだということ。ガスプロムは例えば、イタリアのENIとこのような取り引きを行っている。ウクライナのガス価格はオイル・リンク方式だが、これはもう古く、新しい市場条件ではあまり公正でない。しかしながら、ここ数ヶ月のウクライナ新政権への言動を考えると、このような動きはロシアにとって精神的に許容困難。
ロシアの提案を採用すればウクライナにとって、ウクライナの提案を採用すればロシアにとって、有権者が見つめる中での敗北となる。
アレクセイ・スコピン氏、経済高等学院・地域経済学・経済地理学講座主任
ウクライナのナフトガスが、ガスプロムの新たな価格(1000立法メートルあたり385ドル≒3万8500円)を支払うことに難色を示している。ガスプロムには価格割り引きの要因となるものがもうない。ロシアの黒海艦隊が基地を置くセヴァストポリの湾の借地は行われていない。ウクライナはそれでも、以前と同様に割り引きさせようとしているし、今のところ、クリミア問題における非難はやんでいない。
ウクライナは3日、ストックホルム商業会議所仲裁裁判所に、ガスプロムに対するナフトガスの価格関連の訴えに暫定判決を行うよう要請した。裁判所は1ヶ月以内にそれを行うことができる。裁判所はウクライナを支持するだろうが、決定は履行義務というより、政治的な性質を帯びる。どちらの国がより正しいかという判定になる。裁判所はクリミアの住民投票を認めていないため、ナフトガスを却下する根拠はない。
セルゲイ・プホフ氏、経済高等学院・発展センター上級専門家
ウクライナがロシア産ガスを不当に抜き取らない限り、ロシアはヨーロッパへのガス供給を止めることはないと強調したい。プーチン大統領の通過ガス供給低減に関する声明は、ヤツェニュク首相の発言をけん制したもの。
ガス価格に対するロシアの立場が変わるとは思わない。見直される可能性があるのは、通過の問題や一部債務の同時償還の問題など。価格、期限、量はすでに決まっている。
ストックホルム商業会議所仲裁裁判所の審理後に両者の政策が変わることも期待できない。裁判所はどちらか一方のために契約を変えない。市場は内部問題によってコントロールされており、ガスプロムに特定価格でガスを販売することを義務付けられないし、ウクライナに特定価格で購入することも義務付けられない。ガスプロムが最近結んだ中国との契約を考えれば、アジアへの大量の転送が可能になる。中国だけでなく、アジア諸国すべて。ロシアはガスの供給先を多様化できる。
裁判所はウクライナまたはロシアにとっての最後通牒をすることはなく、双方に受け入れ可能な、譲歩的な決定を見いだすと考える。
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