住宅会社が極東進出

マンションのモデルルーム=写真提供:ロゴスホーム社

マンションのモデルルーム=写真提供:ロゴスホーム社

帯広のロゴスホーム

 ウラジオストク市内南端部にある新興住宅地。8月下旬、海に望む集合住宅の1階に日本の新築マンションと見まがう一室が現れた。家具、キッチンや風呂などほぼすべての資材に日本製品を使っている。

 日本の住宅会社、ロゴスホーム(北海道帯広市)が開設したモデルルームだ。同社はこれを手始めに、ロシアの住宅業界に本格参入する。

 モデルルームは1LDKの間取りで約80平方メートル。100%出資の現地子会社が管理を担当する。ロゴス社が始めたのは新築住宅向けに、日本仕様の内装を設計・施工することだ。

 ロシアで新築の家を買うと、コンクリートむき出しで備品が一切ない「スケルトン」と呼ばれる状態で引き渡されるのが一般的だ。

 ロゴス社によるとロシアには住まい全体のデザインや施工を引き受ける業者が少なく、新築物件を買った人は壁材、水回りなど各分野でそれぞれの業者に発注し、何カ月もかけて家を完成させているのだという。

 この方法では、住めるようになるまでの総費用や工期がなかなか確定できないという問題が生じる。こうした中、ロゴス社は日本人の設計士、インテリアコーディネーター、現場管理者を使い、一括施工や納期の確約などを売りにビジネス展開する。

 輸送費や関税といったコストをかけて日本から資材を運び込むため、価格は高額所得者向けだ。床面積約100平方メートルの家なら、内装完成までの総費用は物件購入費を含めて日本円換算で約3000万円と、現地の一般住居に比べ約3倍になる。

 だが、ロシアでは老朽化した集合住宅から新しい家に移る動きが続いており、住宅ニーズは依然高い。さらに、部分的とはいえ富裕層が確実に育っており、日本仕様の高級住宅は一定のマーケットを築けると同社は見ている。

 目標は来年5月までに15件受注すること。その後受注ペースを伸ばし、3年後には年間売上高12億円の達成をめざす。将来はモスクワにも進出したい考えだ。

 実は今回は、同社がロシア市場を検討し始めてから4年がかりの事業スタートとなった。始まりは2010年、池田雄一社長がロシア極東視察ツアーに参加し、ウラジオストク、ハバロフスク、サハリンを訪ねたことだったという。

 「誘われて参加したもののロシアは初めてで、後に進出するとは夢にも思いませんでした」(池田氏)。

 初めて見たロシアのビルや住宅の状態は日本とは大きな差があったが、むしろそのことにビジネスチャンスを感じた。

 帰国後、サハリンでの住宅修繕を受注しかけたが、商談相手の異動などで話がストップ。ハバロフスクで計画した別の事業も進まなかった。「三度目の正直」とも言えるウラジオストクではトラブルはなさそうだ。

 モデルルームは市中心部から離れているが、早くも毎日数組の見学者が訪れている。具体的商談も始まっている。「ロシア人が住む日本の家」が来年には見られそうだ。