ロスネフチが中国に一部油田売却

Alamy/Legion Media撮影

Alamy/Legion Media撮影

「中国石油天然气集団公司(CNPC)」が、ロシアの国営石油会社「ロスネフチ」の最大の採掘資産「バンコル油田集積」の権益10%を手に入れる可能性がある。ウラジーミル・プーチン大統領がこのような計画を発表した。専門家は、すでに開発済みの油田であるため、中国側にとって極めて有利な取り引きだと考える。ロスネフチは売却によって10億ドル(約1000億円)を受け取ることができるため、債務返済が可能となる。

 CNPCがバンコル油田集積の10%を入手する話は、9月1日に行われた、ロシア-中国間ガスパイプライン「シベリアの力」の起工式の際、プーチン大統領が明らかにした。「国はこのような計画を支持し、中国の参加を歓迎する」、「中国の友人のために制限はない」と、プーチン大統領は中国の代表団に述べた。ロスネフチはこの売却によって、10億ドル(約1000億円)を受け取る可能性がある。

 ロスネフチは中国にとって最大の石油輸出企業。昨年、25年間に2700億ドル(約27兆億円)分の石油3億6000万トンを輸出する契約をCNPCと結び、前払い金として170億ドル(約1兆7000億円)を受け取った。これ以外にも1億トンの石油を、「中国石油化工股分有限公司(SINOPEC)」に輸出する。また、バレンツ海およびペチョラ海の大陸棚の共同事業についてもCNPCと協議している。ただ、ロスネフチには中国企業との合弁会社は今のところない。

 

アメリカの対ロシア制裁によって資金が必要に

 ロシア経済・国家行政アカデミー原料経済センターの主任アナリストであるイリーナ・グリネツ氏は、「ロスネフチに追加的な資金が必要なことがこのような決定の理由」だと話す。ロスネフチは現在、大きな債務を抱えているという。ロスネフチの純債務は昨年、445億ドル(約4兆4500億円)ほどだった。2014~2015年には総額300億ドル(約3兆円)の債務のピークが訪れる。アメリカ財務省は7月19日、アメリカの企業、金融機関、個人に対し、中長期的(3ヶ月以上)な資金融資や新株を伴う資金融資をロスネフチに行うことを禁じた。そのため、投資家として中国に話を持ちかけたことは、十分説明可能だという。

 ロシアの投資会社「UFS IC」の主任アナリスト、イリヤ・バラキレフ氏は、現状から考えれば道理にかなっているものの、プロジェクトの一部を売却する決定は一義的ではないと話す。「ロスネフチは債務の大部分をリファイナンスする必要があり、これが投資家を不安にさせている。戦略資産の少数パッケージを売却し、油田の完全な管理を失うことなく、10億ドルほどを手に入れることができる」。これは大きな政治的ジェスチャーであり、将来的にはロシアと中国の協力拡大につながるという。

 

プロジェクトはインフラ付き

 バンコル油田は1988年に発見された。今年初めの可採埋蔵量は原油5億トン、ガス1820億立法メートル。「バンコル油田が新しい未開発プロジェクトや困難なプロジェクトというわけではないことを理解する必要がある。プルペのパイプラインなど、すでに必要なインフラが整備されている」とグリネツ氏。採掘は2009年に始まり、昨年には2140万トンほどが採掘された。今後2年で年間2500トンまで増える予定。「このようにして、中国側は巨大な投資をすることなく、開発済みで利益の出ているプロジェクトに招かれた」。この点で、ロシア側には有利ではないという。

 「制裁を科されている現状からすれば、経営状況を向上できるから良い動き。ただ、このような状況になければ、ロスネフチは重要な採掘資産の一つのわずかな比率も売却しなかっただろう」とグリネツ氏。両国の貿易規模が拡大すれば、互いへの依存度が高まるという。「ロシアと中国の経済の相互浸透は今後急拡大する。これ自体は悪いことではないが、ロシアと欧米の関係が悪化し、代案が限られている中で、中国は毛布を自分側にもっとひっぱるようになるだろう」とグリネツ氏は説明する。