日立建機の辻本社長に聞く

Getty Images/Fotobank撮影

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世界有数の「大きさ」を誇る「日立製作所」は、1910年に小平浪平氏によって創業された。その哲学とは、「技術開発を通じて社会に貢献」である。日立製作所は冷蔵庫、冷房、石炭掘削機から、顕微鏡、コンピュータまでの、あらゆる製品を製造しながら、その目標に向かって突き進んできた。日立帝国の1社が「日立建機」。世界的な大手建機・掘削機メーカーだ。 日立建機がロシアで活動を始めたのは1978年。1982年には現地事務所も開設。だが工場を開業したのは今年である。日立建機の辻本雄一社長が「ヴェドモスチ」紙のインタビューに応じ、ロシアの新工場に期待すること、また開設の際の困難について語った。

-世界では現在、インフラ事業の活発なBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が、御社の製品の需要を確かなものとしています。この成長は続くとお考えですか。 

当社製品に対する先進国の需要は弱いです。今後は減少するか、または現在の水準を維持していくでしょう。新興国の需要は今後も伸び続けるでしょう。当社ではすでに、先進国とBRICS諸国の販売の比率が変化しています。以前は73でしたが、現在は64です。この比率は今後も変化するのではないでしょうか。 

-ロシア極東は勢いよく発展し始めています。ロシアの政治家や実業家に対して行われた制裁が、御社のこの市場への参入を困難にするとの懸念はお持ちではないですか。 

現時点ではいかなる影響も感じておりません。しかしながら輸出入の制限があれば、当社も影響の範囲内に入る可能性があることは理解しております。今のところは状況を見守っています。 

2018年にロシアで行われる予定のワールドカップで、建機の受注を見込まれていますか。 

ロシアW杯はロシア西部で行われます。西部には当社が最近工場を開設したトヴェリがありますので、その効果があればと期待しています。工場がお客様に近ければ、必要に応じたショベルを生産することができます。 

-アメリカの対ロシア制裁の一覧に加えられた実業家ゲンナジー・ティムチェンコ氏の会社は、いくつかのスタジアムを建設する予定です。輸出入関連の制裁で影響を受ける可能性についてお話になりましたが、ロシアの工場から納入する場合に制裁のリスクはあるとお考えですか。またロシア市場は御社にとってどれほど重要ですか。

政治的なことについては何とも言えませんが、アメリカと日本の立場が完全に一致しているわけではないことをふまえておく必要があります。経済協力が被害を受けないようにはなっているようです。

ロシアの需要は今のところ、大きく伸びてはいません。建機とは非常に脆弱な分野で、情勢に大きく依存します。ロシアでは年々変動が出ていますが、成長が見られ、インフラの需要は維持されています。ですので、成長を信じています。 

-昨年のロシア市場における御社のシェアは35%でした。ロシアの工場が稼働を開始したことで、シェアは拡大しそうでしょうか。

35%は中型ショベルのシェアです。トヴェリに工場を開設したことで、お客様に近くなったので、物流面で有利になります。当社のお客様の大半は西部に集中していますので、より早く製品を受け取ることができるようになります。少なくとも35%は維持できるでしょうし、拡大も可能です。 

6月に開業した最初の工場のプロジェクトは、20082009年の金融危機前に始まりました。この間、何らかの困難はありましたでしょうか。

工場の稼働開始に多くの時間を要しました。困難の多くは、電気、給水管、インフラなどの基本的な部分がないことに関係していました。ですがトヴェリ州政府にご支援いただき、そのおかげで問題を解決することができました。 

-ロシアで掘削機を製造する予定はありますか。鉱山プロジェクトの発展を考えると、需要は大きそうですが。

トヴェリ工場の第一段階では、都市部で使われる中型建機(2030トン)の製造が行われます。ロシア東部で活動する鉱山採掘会社には、当社の日本からの輸入掘削機をご購入いただいています。サハ共和国、マガダン州の需要は高いです。将来的には東部のお客様向けの掘削機の部品、あるいは何らかのエレメントの製造を行う予定です。このような機械は1個売りの製品で、大量生産は必要ないため、日本国内の1ヶ所で生産し、海外に輸出する方が経済的なのです。 

-トヴェリ工場での現地生産化はどのぐらいの規模になるのですか。

当面の目標は20%です。現在は自社生産しているものと、納入している物があります。ロシアのサプライヤーを2社見つけました。トヴェリ州に進出した、または進出する日系企業もあります。現地生産化を拡大するために調査を行い、サプライヤーを探して行きます。当社はどこでも同じ品質を維持するように努力しておりますので、どの工場から出荷されても完全に同一の高いレベルの製品になっていることが重要なのです。したがって当社への製品の供給を希望しておられる現地の企業には、一定の基準を求めております。 

-ロシアの工場で従業員をそろえるのは難しかったですか。日本とロシアの仕事への取り組みは大きく異なっていますが。

人材育成は重要な部分です。ロシアの従業員を採用し、日本に派遣し、研修を受けてもらいました。

現在はトヴェリのコニャフスキー・カレッジとプログラムを始め、例えば、学んだ生徒を後に採用する目的などで、日本の専門家を呼んで溶接教室などでの指導をお願いしています。当社の工場のどこでも作業基準を維持できるように、毎年さまざまな国で溶接、金属加工、塗装、物流などの専門のコンテストを行っています。今年はコンテストが日本で行われます。

 

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