急成長のビデオ作成ベンチャー企業

「Coub」のチーム=写真提供:Coub.com

「Coub」のチーム=写真提供:Coub.com

モスクワを拠点とするベンチャー企業「Coub」が急成長している。10秒間のループ再生されるビデオクリップ作成アプリを開発しているこの企業は、ロシア国外でのビジネス拡張を目指し、米国市場に狙いを定めている。

 ウェブサイトへのユニーク訪問者が毎月5,000万人を超える創業まもないロシアのベンチャー企業のCoubは、西欧に狙いを定めている。ロシアでFacebookと競合するVKontakteの共同設立者たちが率いるベンチャーファンドのヴァイズラ・キャピタルはこの7月に、同社に250万ドルを投資することを約束した。資金とグローバル規模の野心で強化されたCoubは、ループしたキャッチーなビデオクリップというアイデアを世界に広めるために、ニューヨークに事業所を開設した。

 

ロシア語圏インターネット市場をとりこにするクーブ

 永久的にループ再生される短いGIFのクリップを覚えているだろうか?Coubはそれとアイデアが似ているが、サウンドトラックと使いやすいオンラインエディタが付いている点で異なる。これにより、ユーザーはYouTube、Vimeoやハードドライブからビデオを取り込み、10秒の短いクリップにそれをカットしてオプションのサウンドトラックをつければ、それだけでループさせることができる。ユーザーが「クーブ」と呼ぶクリップは55万点以上あり、毎月3億3700万回におよぶ閲覧回数が記録されている。そのうえ、このテクノロジーの人気はまだ開拓過程にある。

 Coubの創立者であるアントンとイゴーリ・フラドコブロドフは、マイケル・タブノフと提携して2012年にこのサービスの提供を開始した。公表後間もなく、CoubはRunet(ロシア語圏インターネット)で大旋風を引き起こした。

 リラックスしたウサギが流しでシャワーを浴びながらTelepopmusikの“Breathe”という歌を唄っている有名なビデオは、閲覧回数が100万回を超えた人気クリップ500点のうちの一つだ。

リラックスしたウサギ=ビデオ提供:Coub / Yuri Sokolov

 Coubが秘める急激な人気拡大の潜在力はすぐに投資家たちの目につくところとなり、このベンチャー企業はフェノメン・ヴェンチャーズとブラザー・ベンチャーズというロシアのファンドから当初100万ドルを調達した。投資家たちは取引条件を公開していないが、少数派の株式を受け取ったと述べた。 

 4月には、同社はRunetで最大の動画コマーシャル供給会社であるガスプロム・メディア・デジタルとの契約を締結した。この取引により同社は、広告主が広告ビデオを作成、アップロードし宣伝するためのカスタマイズされたCoubの配信経路を提供できるようになった。 

 「クーブはテクノロジーに通じている若年層のユーザーを大多数獲得していますが、Coubがデジタル広告の理想的な掲載チャンネルになっているのはそのためです」と、ガスプロム・メディア・デジタルの他ティアナ・マトヴェーエワ広報部長が説明する。「Coubは顧客をめぐる特別な競争や顧客とのやり取りにおいてブランドが利用できる、キャッチーな動画を作成するための理想的なプラットフォームです」とマトヴェーエワ部長は続けて語る。「この種の広告キャンペーンなら130万のユニークビューを達成できます」

UFOとの最初のコンタクト=ビデオ提供:Coub / Dmitry Vasin

収益につながる経路

 テクノロジーの専門家は、クリップの人気がウイルスのように口コミで感染的に広がることによる収益化モデルを活用した場合、クーブが国際的に成功し、海外のベンチャーファンドの注目を集める可能性があると考える傾向にある。

 「ツイッターが公開された2006年と比較して、ソーシャルマーケティングなどの新しい経路を活用するという面で、最近のマーケティング担当者ははるかに進化しています」とロシア最大級のベンチャーファンドの一つであるルナ·キャピタルの投資ディレクター、ドミトリー・ガリペリンは述べた。彼は、感染的に広がる広告ビデオクリップは人気が高まるため、CoubはTwitterよりも短期間で黒字になる可能性が高いと付け加えた。 

 「Coubは過去数ヶ月間で感染的に人気を高めることにおおむね成功しました。まだVineやInstagramの成功レベルには達していませんが、そのようなサービスは利用者への魅力度やトレンドによって浮き沈みがあります。2011年当時、Instagramがこれほど巨大になるとは、ほとんど誰にも想像できませんでした」とガリペリン氏は語った。  

 ニューヨークの投資家でエンパイア・エンジェルス共同創設者のクリスティーナ・ベックホールド氏は、Coubがアメリカで多額の投資を募りたいのであれば、「海外市場でも強力なユーザーベースの成長を実現でき」、潜在的な収益化ストリームを拡張することができることを実証する必要があると述べた。 

Coubでは、アニメが利用されることも多い。=ビデオ提供:Coub/IgorRise

 西欧に目標を設定した現在、同社はiOSとAndroid向けのモバイルアプリに焦点を当て、Coubをよりソーシャルメディアに浸透させることを目指している。

 

モバイルアプリの国際展開 

 2013年後半に行われたインタビューで、グラドコブロドフ氏は、モバイル向けのアプリがCoubのソーシャル面での存在感を高めるだろうとの見解を示した。「私たちは、大多数のクーブが既存のコンテンツのリミックスとしてデスクトップで作成される創造的なコミュニティとしてスタートしましたが、アプリの助けを借りることで、よりソーシャルに変貌しつつあります」と、彼はTJournal.ruに対して語った。 

 Coubの長年のユーザーで、世界中の商品やサービスの検索が可能な地理アプリケーションCheckitの創始者であるスタニスラフ・ティモシチュク氏は、モバイル分野において高まっているCoubの存在が、国際的なユーザーベースの増大につながる多くの機会を切り開くと述べた。 

 「CoubのiOSとAndroidアプリが人気を博し、同社が迅速に変化し、ユーザーの声にすぐに対応できることを示し、グローバルのユーザー基盤を拡張させることができれば、誰もが熱望する主要な投資家をものにできるでしょう」とティモシチュク氏は語った。 

 現在、Coubのユーザーの大半はロシアと東欧が中心だ。同社の創設者は、最近はハンガリーと日本で利用が大幅に急増していると述べた。しかし同社の主要な目標は、やはり米国市場への参入である。Coubの所有者は、どのような企業であれ、米国で人気を得れば、他の場所でも人気をものにできると確信している。